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福島遺産百選
熊川稚児鹿舞(大熊町)
【 12 】
全町避難で奉納の舞中止

郷土芸能の継承へ関係者の模索続く

原発と郷土芸能

原発と郷土芸能

200年以上前から伝えられている稚児鹿舞。原発事故でふる里への立ち入りが禁止されている。どのように郷土芸能を守り、継承するか。取り組みは始まったばかりだ

 詳しい資料はないが、天保年間にはすでに記述があり、200年以上前から行われていたようだ。「鹿舞」と書いて「ししまい」と読ませる。これは熊川地区が、凶作や疫病に襲われ、家庭不和が相次いだとき、地区の鎮守である諏訪神社に、「鹿」に扮(ふん)して舞を奉納したことに由来する。現在は獅子の面になっているが、鹿に似せた角をつけるなど、当時の面影も残る。
 踊りは5分間の休憩を挟んで約1時間と長い。舞方は地区の長男で、年齢は小学校低学年から中学2年生まで。4年間務め上げると、次の舞方へ伝統が受け継がれる。踊りの指導は、役目を終えたばかりの舞方が務めた。
 東日本大震災の津波で、諏訪神社、練習場所の集会所が流された。福島第1原発事故で町に入ることもできない。昨年、今年と奉納舞は中止。伝統の継承に向け、関係者が模索を続けている。
 (熊川稚児鹿舞保存会(電)090・5188・8163)


 守り抜く熊川地区伝統の舞
 宮本 明(みやもと・あきら)さん/熊川稚児鹿舞保存会会長
 今年8月、県内外に避難している保存会のメンバーが郡山市に集まり、熊川稚児鹿舞をどう後世に伝えていくかを話し合いました。
 私たちのふる里は、放射能汚染で、戻れる見通しが立っていません。鹿舞は、代々、この地に受け継がれてきたふる里の宝であり心の宝、地区住民を結びつける絆です。戦時中も中止することなく開催しています。
 鹿舞は、踊り手の舞方、笛や太鼓などの囃子(はやし)方で構成するため、散り散りになった現状では、全員が集まって練習するのが難しくなっています。特に子どもが参加するのは難しいため、伝統継承の一つの案として、当分の間、子どもが担っていた舞方を、幼いころ、舞方を経験した大人が務めていくことを検討しています。
 神社へ奉納する形は取れませんが、震災前の鹿舞を復活させていくことが、今の熊川地区はもちろん、大熊町民の心の復興の後押しとなるはずです。私たちの代で途絶えさせることはできません。

再びふる里で…

再びふる里で…

震災前、地区の集会所で練習する舞方の子どもたち。次はいつ、ふる里で踊ることができるのだろうか

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2012年12月18日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

土湯こけし(福島市)

土湯こけし(福島市)

 江戸時代後期に誕生し、受け継がれてきた伝統工芸品。現在の工人は10人。「くじら目」と呼ばれる半月型の目と蛇の目模様の髪、小さな頭部などが特徴。芸術性の高さから「日本三大こけし」の一つとして愛好されている。(土湯こけし工人組合(電)024・595・2329)


土湯男沼・女沼(福島市)

土湯男沼・女沼(福島市)

 800年の吾妻連峰の火山活動によってできたとされる二つの沼。男沼は自然林の中に澄んだ湧き水をたたえ、幻想的な美しさ。女沼は全周約2キロで、男沼より一回り大きい。北岸には砂浜があり、豊かな水量を使って発電所が整備されている。(土湯温泉観光協会(電)024・595・2217)


頭陀寺回転輪蔵(川俣町)

頭陀寺回転輪蔵(川俣町)

 1449(宝徳元)年に開山した頭陀寺本堂に造られた。300年以上前に木版によって印刷された7334巻の経典が納められている。八角八面で造られた堂の中心には軸が通され、回転させることで功徳を積む。平時でも要望があれば回転輪蔵を回すことができるという。(頭陀寺(電)024・565・4815)

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