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福島遺産百選
天神原遺跡(楢葉町)
【 18 】
雑草が覆う太古の集団墓

国指定重要文化財・土器棺4点が損壊

雑草に埋もれる

雑草に埋もれる

【震災後】地震で棚から落ち、粉々に割れた「6号下方土器棺」(写真右上)。管理されなくなった遺跡は雑草が生い茂り、除染も遅々として進んでいない

 太平洋岸に面した台地の突端に位置する、弥生時代中期後半(約2000年前)の集団墓。1979(昭和54)年夏に発掘調査が行われ、多くの土坑墓、土器棺墓が出土した。以前に見つかったものも含めると総数は土器棺墓33基、土坑墓49基に上り、この時代としては東日本最大級だ。
 土坑は長い楕円(だえん)形で長さ約2メートル、幅約0.8メートル。土坑の一部には勾玉(まがたま)などが副葬されており、特別な地位の人物も埋葬されたと考えられている。土器棺は上部に別の土器の胴部を輪切りにしてふたにした「合蓋(あわせぶた)土器棺」と呼ばれるものが多く、子どもの埋葬に使ったとみられる。
 遺跡は県の史跡に指定されているが、震災以降は定期的な管理が行われていない。一括して国指定重要文化財となっている出土品のうち土器棺2点が棚から落ちるなどして全損、別の土器棺2点が一部損壊した。
 (楢葉町教育委員会(電)0246・25・5563)


 除染、修復長い道のりへ「第一歩」
 山内日出夫(やまうち・ひでお)さん
 /楢葉町教育委員会教育総務課文化財係長

 楢葉町は昨年8月に警戒区域指定を解除されましたが、雑草が生い茂る天神原遺跡を目の当たりにし、あらためて復旧への道の険しさを実感しました。遺跡がある天神岬スポーツ公園の除染が終わっていないため、整備の見込みは立っていません。役場機能が楢葉町に帰還する予定の2014年4月までに除染を完了できるよう、町を挙げて取り組んでいます。
 町内の文化財の多くは、楢葉町コミュニティセンター内の歴史資料館に保管されていました。天神原遺跡の出土品も館内に保管されていましたが、震度6強の揺れに耐え切れず棚から落ち、国指定重要文化財4点が壊れました。
 出土品は現在、除湿器を備えた館内の収蔵庫に保管してあります。13年度に国からの補助を受け、文化財調査委員会に諮りながら修復する予定です。現時点でできることは限られていますが、町の宝である文化財の保護に向け、まずは資料館の修復を目指したいと思います。

身近な遺跡

身近な遺跡

【震災前】公園内にある天神原遺跡。町内イベントも頻繁に行われ、町民は遺跡を身近に感じることができた

ふくしま復興支援
 福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
 「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
 しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。

2013年2月5日付・福島民友新聞掲載
 
ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化
地域の宝を復興の力に
震災に耐えて
 東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。

上川崎の和紙(二本松市)

上川崎の和紙(二本松市)

 1000年以上の歴史を誇り、「みちのく紙」として紫式部や清少納言なども愛用したという。ほぼ手作業の工程により、原料となる「コウゾ」の繊維が長く、丈夫な紙ができる。紙の強さは墨の色合いに影響するため、書道家からの人気も高い。(二本松市和紙伝承館(電)0243・61・3200)


コスキン・エン・ハポン(川俣町)

コスキン・エン・ハポン(川俣町)

 1975(昭和50)年から続く、国内最大規模の中南米音楽祭。約160グループが参加し、町中にフォルクローレを響かせる。また、児童に中南米の楽器・ケーナを配布し音楽の授業で使用するなど、町を挙げてフォルクローレの輪を広げている。(川俣町中央公民館(電)024・565・2434)


飯野堰堤公園(福島市)

飯野堰堤公園(福島市)

 1938(昭和13)年、飯野町民の手で造られた。「おらほの堰堤桜援隊」が整備を担当するなど、住民がそれぞれの立場で公園を支えている。公園内の道路では桜や新緑、青葉や落ち葉など、四季の風情を感じながら散策を楽しむことができる。(飯野町観光協会(電)024・562・2111)

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