地域が守る先人の思いと形
田島地域の歴史とどめる
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年内に再オープン
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漆喰(しっくい)の壁が崩れた落ちた室内。修復作業は建設当時と同じ材料と工法で進められている。年内に終了し再オープンする運びとなっている
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南会津町田島地域は、昭和前期の2度の大火で大正以前の建物が焼失しており、旧南会津郡役所は、地域の歴史をとどめる貴重な遺産であり宝。
戊辰戦争後、県は藩制時代の代官陣屋を郡役所としていたが老朽化などもあり、1885(明治18)年に旧南会津郡役所を建築した。建設費は当時の金額で7700円。県費が3000円、残り4700円は郡民の寄付で賄われた。正面バルコニーの柱はギリシャ風、欄間には扇型のステンドグラスを取り入れるなど、明治初期の洋風建築の特徴が随所に見られる。
1970年に現在の南会津合同庁舎が建設されると、その役割を終えた。解体の計画もあったが、住民らが存続を求め、保存が決まった。現在は町から委託を受けた地元行政区が管理している。東日本大震災では基礎や壁が壊れ、現在、修復作業が進められている。
(旧南会津郡役所(電)0241・62・3848) |
住民の心に希望つくる地域のシンボル |
中村 美智子(なかむら・みちこ)さん/旧南会津郡役所管理人
老朽化していたところに東日本大震災が襲い、基礎が壊れ、室内の壁が崩れました。地震が起きたときは、倒壊してしまうのでは、と多くの住民が思いました。しかし、あの大きな揺れにも耐え、厳然とした郡役所の姿に、多くの人が勇気をもらったと言います。
昨年10月から修復作業が始まり、4月に仮オープンしました。材料や工法は建設当時と同じです。年内に終了の運びです。
郡役所の歴史をたどると、地域住民が深く関わっていることが分かります。地域の協力がなければ、存在すらなかったかもしれません。すでにその本来の役割は終えていますが、今は、郡の歴史を紹介する施設として活用され、同時に地域の人たちが、交流の場として毎日のように利用しています。
仮オープンのときは、本当にたくさんの方が喜んでくださり「待ってたよ」と声をかけられました。郡役所は地域のシンボルであり、誇りです。完全復旧は、地域住民にとっての心の復興にもつながるはずです。
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地域で守る
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地域住民の協力で建設された。本来の役割は終えたが、住民の手で大切に守られ、利用されている
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福島民友新聞社は、ふくしま復興支援プロジェクトの一環として、2012(平成24)年10月から13年5月まで、「ふる里の誇り ふたたび 福島遺産 百選 未来への歩み」を連載しました。
「福島遺産 百選」は、県内それぞれの地域で「ふる里の誇り」として守り継がれてきた有形無形の宝を後世に残していこうと、福島民友新聞社が07年に県内外に呼びかけ、選定しました。
しかし、計120件のうち31件の遺産が東日本大震災で被災しました。本プロジェクトは、あらためて地域の素晴らしい宝を再認識することで県民一人一人の誇りを取り戻し、「心の復興」につなげていくことを目的としたものです。 |
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ふくしまが誇る美しい自然、歴史、文化 |
地域の宝を復興の力に |
震災に耐えて |
東日本大震災に耐え、被害を免れた福島遺産もあります。これらは地域で県民に勇気と希望を与え続けています。
尾瀬(檜枝岐村、南会津町)
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本州最大の湿原といわれる尾瀬ケ原と尾瀬沼を中心に広がる。ミズバショウやニッコウキスゲ、ワタスゲなど多様な高山植物が咲き誇る。その雄大で繊細な自然は「天上の楽園」と表現されるほど美しく、季節の移り変わりを色鮮やかに伝える。(檜枝岐村企画観光課(電)0241・75・2503)
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泉崎横穴(泉崎村)
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6世紀末〜7世紀初頭の古墳時代の横穴墓。1933(昭和8)年、道路工事中に発見され、翌年には国史跡に指定された。東北初の装飾壁画を持つ横穴で、動物や騎馬人物、女性らしい人物などが赤色顔料を使って描かれている。(泉崎村教育委員会学校教育課(電)0248・54・1533)
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