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こころに残す ふくしまの風景
花の写真館
(福島市)
大正ロマン残す石造りの寄せ棟
国道13号の交差点近くにあるが、騒音は敷地までは届かず、以外なほど静かだ
 また福島に花の季節がやってきた。盆地特有の厳しい寒さも和らぎ、信夫山の桜の開花宣言までは秒読み状態。新学期が始まると、ふもとにある旧日本電気計器検定所福島試験所の前を福島高校生や福島四中生が朝夕通りすぎていく。その検定所は2003年4月10日に新名所「花の写真館」としてオープン。
 試験所は80年ほど前の1922(大正11)年、各家庭に設置する電力メーターなどを検定する逓信省電気試験所福島出張所として建設された。業務を開始したのは東京、大阪に次いで3番目で、当時は東北だけでなく、北海道、サハリン(樺太)までを管轄していた。その後、名称変更、検定業務の仙台移転があって98年3月未で閉鎖された。
 石造りの寄せ棟、白壁と赤瓦膏(ぶ)きの屋根で知られる試験所は、窓やドアに装飾を施した明治建築から機能優先の近代建築への移行期の建物。県内では残り少なくなった官衛(かんが=役所)建築でもある。
 全体的に質素なつくりだが、正面のレリーフとエンブレムがアクセントを添える。正面玄関前の一対のヒバは戦前に植えられ、試験所の歴史を見守ってきた。
 花の写真館の条例上の名称は「市写真美術館」。愛称は故秋山庄太郎氏にちなんで花の写真館とした。秋山氏と福島市の縁はそれほど深い。
 秋山氏は花見山を″桃源郷”20数年間通い続けた。撮影した写真は旅行、カメラ雑誌に発表され、花見山は全国に知られる撮影スポットとなった。
 また、同氏がバラや女優など著名人のポートレートなど代表作の一部120点を福島市に寄贈したことから、同市も氏の他の作品200点を購入。写真儀を公開の場と決めた。
 写真館は、昨年6月の市有形文化財指定を機に部分的な復元が行われた。天井は漆喰(しっくい)、床は板張りに戻された。1階部分を秋山作品と写真専門の市民ギャラリーとする。
 文化財指定、復元に取り組んだ同市教委の阿部隆夫文化財係長は「写真を中心とした市民文化振興の拠点にしたい」と話している。 
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 福島交通の市内循環福島高校前下車。入場料は大人200円、小中学生70円。年末年始(12月29日から1月3日)のみ休館日。秋山庄太郎氏の作品を展示する常設展示室のほかに市民が利用できるフォトギャラリーがある。
<1> 2003.04.04
 

福島民友新聞社
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