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こころに残す ふくしまの風景
雲雀ケ原
(南相馬市)
500騎が疾走する野馬追の”聖地”
相馬野馬追の舞台となる雲雀ケ原祭場地。騎馬武者が勇壮な戦国絵巻を繰り広げる
 1千有余年の歴史を誇る国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の祭場地として全国に知られる。
 7月23日に行われる「宵乗り競馬」に始まり、本祭りの24日には先祖伝来の甲冑(かっちゅう)に身を固めた500余騎の騎馬武者が雲雀ケ原を目指して進軍。同地を舞台に砂じん舞う中を人馬一体となり、背にする旗指物をなびかせながら疾走する「甲冑競馬」や打ち上げられた花火とともに舞い降りてくる御神旗を勇壮果敢に奪い合う「神旗争奪戦」を繰り広げる。
 相馬氏の遠祖・平将門が行った軍事訓練と神事が起源とされる野馬追だが、江戸時代までは旧暦5月中の申(なかのさる)の日(現在の6月中旬)に、現在の雲雀ケ原を含む野馬追原に放牧されていた野馬を追い、相馬氏の氏神である妙見社に馬を奉納する行事を行っていた。1744(延享元)年に相馬藩が幕府の求めに応じて提出した野馬追の記録の控えとされる「野馬追之記」には「東西弐里余(約8キロ)、南北弐十丁余(約2.2キロ)の野馬追原にて野馬追を行う」と記されている。
 同文献からは現在の南相馬市原町区西部の馬場地区から東部の萓浜地区までの広大な範囲で野馬追が行われていたことが分かる。
 現在の「雲雀ケ原」を使用するようになったのは明治以降で、敷地面積は約12万平方メートル。総大将が本陣を構える本陣山など観覧席を含めると約19万平方メートルに及ぶ。
 野馬追に携わる人々によって長年大切にされてきた「雲雀ケ原」だが、現在はその広さを生かして春と秋の振興競馬大会のほか、サッカー大会や星空観察会など各種イベントで利用され、同市のシンボルとして親しまれている。
 しかし、雲雀ケ原が1年で最も輝くのは野馬追の季節。間近に迫った大祭を前に、周囲には色鮮やかな旗指物が並び、戦国絵巻を再現する相馬武士の到着を待っている。
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 JR常磐線原ノ町駅から徒歩で約25分、タクシーで約10分。常磐交通バス旧道小高線「本陣前」下車、徒歩1分。今月24日の本祭りの際は原ノ町駅から臨時シャトルバスも運行される。野馬追観覧料金は一般自由席(当日券)で大人1000円、子ども500円。
<16> 2003.07.18
 

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