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こころに残す ふくしまの風景
八葉寺阿弥陀堂
(会津若松市)
慰霊の列絶えず 会津高野山参り
八葉寺阿弥陀堂
古来より空也上人が霊地として知られ、「会津の高野山」として会津地方一円の信仰を集めている八葉寺阿弥陀堂
 平安時代の高僧・空也上人によって964(康保元)年に建立されたと伝えられている。「会津の高野山」と称され、会津地方一円の信仰を集めてきた。
 阿弥陀堂のある冬木沢地区は会津盆地の縁、丑寅(東北)の角に位置している。古来から鬼門として、あの世と現世の交流ができる場所とされ、豊かな緑に囲まれた中にも厳粛な雰囲気が漂う。
 入り母屋造りの屋根は三間四面で単層、かやぶきで反りに特徴がある。1950(昭和25)年に国の重要文化財に指定された。
 毎年8月1日から同7日までの1週間、盆迎えの恒例行事「会津高野山参り」が行われ、先祖の霊を弔う祈りの列が絶えない。新盆の家では祭礼期間中、親類が集まり、一族そろって阿弥陀堂に参詣する。
 寺の「木製五輪塔」と呼ばれる小型納骨塔婆、納骨器に遺髪や遺骨などを奉納する風習があり、約1万5千体を数える。最も古いもので1596(文禄5)年記銘のものがある。このような風習が残っているのは全国で同寺だけで、国重要有形民俗文化財の指定を受けている。
 毎年8月5日には、阿弥陀堂周辺で県指定重要無形民俗文化財の「空也念仏踊り」が繰り広げられる。地元の空也光陵会の会員らが黒衣に袈裟(けさ)をまとい、ずきんに草履のいでたちで整列。鉦(かね)や太鼓を打ち鳴らしながら、念仏を唱え、伝統の踊りを披露すると、詰め掛けた大勢の見物客のシャッターを切る音がせみしぐれのなかに響く。
 八葉寺は2000(平成12)年8月24日出火し、かやぶき屋根部分約160平方メートルをほぼ全焼した。火災後、文化庁の調査官が訪れ損害状況を調査した結果、「修復のための設計図の製作に時間がかかることや国の予算などの絡みから年度内の修復は難しい」と述べたことから、修復は翌年の空也念仏踊りまで間に合わないとみられていた。しかし、町が行った国や県への積極的な陳情活動が実を結び、翌年8月に修復を完了した。 
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 JR磐越西線広田駅下車、タクシー5分、または徒歩約15分。車は磐越道磐梯河東インターチェンジを降り、国道49号経由で約10分。正面に須弥壇、左右に来迎柱、中央に阿弥陀如来像が置かれ、壇上の春日厨子の中に善光寺式一光三尊仏が安置されている。
<18> 2003.08.01
 

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