ふくしまの風景TOP
こころに残す ふくしまの風景
松川事件現場
(福島市)
支援物語る公園、無罪獲得の象徴
松川事件現場
うっそうとした緑に包まれた事件現場周辺。記念塔公園の敷地も拡張され、関係者による清掃も年に数回行われている
 下山事件、三鷹事件と相次いだ鉄道事故で国内が騒然としていた1949(昭和24)年8月17日午前3時9分(サマータイムのため現在では2時9分)、東北線金谷川―松川駅間の右カーブで上り普通列車が脱線転覆した。「重大鉄道事件の頂点」(「松川事件と平事件のナゾ」伊部正之福大教授著)とされた松川事件である。
 福島市南部の松川町を通る旧国道4号から「美郷ガーデンシティ」の町並みの中を東に向かうと1992(平成4)年に開通した羽山陸橋に出る。橋の東端から北側を見下ろすと松川事件の現場や関連の記念碑が箱庭のように広がる。周辺には水田と雑木林が広がり、橋からも列車からも注意しないと見落としてしまう風景だ。
 現場から約200メートル東側。現在の東北線上り線沿いには松川記念塔と記念塔公園が整備されている。作家広津和郎の碑文を掲げた記念塔は無罪確定1年後の64年9月に建立された。公園は93年9月に無罪確定30周年を記念して設けられた。
 「人民が力を結集すると如何(いか)に強力になるかということの、これは人民勝利の記念塔である」。力のこもった碑文は、無罪確定当時、かかわった人たちの高揚した気持ちを伝えている。
 松川事件の被告の無罪が確定したのは63年9月12日。国家賠償請求訴訟も原告勝訴に終わり、松川事件は決着をみた。しかし、真犯人は見つからないままで、機関士ら3人の殉職という厳然とした事実は残る。
 事故現場のすぐわきには犠牲者の同僚らが建てた殉職之碑と地蔵菩薩が現場を見守っている。
 >>> 行ってみよう
 国道4号と旧4号から車で数分。美郷ガーデンシティから踏切を渡ると車でも現場に着く。福島交通バスでは福島駅東口発伏拝・県立医大・美郷団地経由松川行き特別養護老人ホーム「ロングライフハイム」前停留所下車、徒歩約10分。
<20> 2003.08.15
 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN