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こころに残す ふくしまの風景
鹿嶋神社
(白河市)
提灯行列を待つ石造りの太鼓橋
鹿嶋神社
白河総鎮守として、地元の精神文化を支えてきた鹿嶋神社。提灯まつりで提灯行列が参道の太鼓橋を渡る姿は、祭りの見どころの一つとなっている
 日本3大提灯祭りの一つ「白河提灯まつり」で知られる鹿嶋神社は、市中心部の東方約2キロ、阿武隈川北岸の森に建つ。宝亀年間(770−781年)、光仁天皇の時代に祭られ、811年、東夷征伐に向かった坂上田村麻呂が、あらためて常陸国鹿嶋大明神を勧請したのが始まり、とされる。
 境内には樹齢1000年以上の杉の木が立ち、苔(こけ)むしたその根のつながりが、深い歴史を感じさせる。参道を行くと日露戦争の戦勝記念に造られた石造りの「太鼓橋」がある。提灯まつりで、各町の提灯と神輿が橋を渡る情景は、祭りの見どころの1つだ。
 歌枕として名高い「転寝の森(うたたねのもり)」は、神社から約300メートル東の水田の中、境内飛び地に位置する。清少納言の「枕草子」森の段に挙げられ、また、陸奥に向かう八幡太郎義家が仮眠をとったと伝えられ、いにしえから人々に安らぎを与えてきた。
 2年に1度行われる同神社の例大祭「白河提灯まつり」は、1657年、時の白河藩主本多能登守忠義がみこしを寄進したのが始まり。長さ10メートル以上の竹ざおに付けた提灯をはじめ、秋の夜に揺れる提灯の光の流れが、荘厳かつ幻想的な雰囲気を醸し出す。
 市の観光の中心となっているが、中心市街地の衰退、少子化、寄付金の負担などのため、転換期を迎えている。2003年2月、氏子や観光関係者が改革の検討会を設置した。伝統を守りながら、観光を意識した”見せる祭り”へ変えていこうという試みだ。
 和知延宮司は「祭りは神事だけに、改革は神社にとってもろ刃の剣だが、地域の神社だから、地域に貢献できなくてはいけない。氏子の負担を減らし、市の活性化につながるよう協力したい」と話す。いつの時代にも人々を魅了する祭りの明かりを後世に残そうという努力が始まっている。
 >>> 行ってみよう
 JR白河駅から徒歩約20分、タクシーで約5分、福島交通バスは、滑津経由松崎線、「鹿島」下車徒歩1分、石川棚倉浅川線「鹿島橋」下車徒歩3分程度。13日は午後6時に先達が出発。太鼓橋、阿武隈川を渡り、町内に繰り出す。
(※提灯まつりの日程は、9月の敬老の日の直前の金、土、日曜日に行われる。)
<24> 2003.09.12
 

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