ふくしまの風景TOP
こころに残す ふくしまの風景
桜井古墳公園
(南相馬市)
古代の巨大墳墓 憩いの場に活用
新田川沿いに築造された桜井古墳。周囲には豊かな水田が広がっている
 桜井古墳は原町区上渋佐字原畑に所在する4世紀後半に築造された東北最大級の前方後方墳で、長さは74.5メートル。古墳は太平洋に注ぐ新田川を北に望む海岸段丘に立地し、後方部に立つと南に原町の中心市街地、西に阿武隈山地、北に水田風景、そして東に太平洋の大海原を見渡すことができる。
 桜井古墳が一躍脚光を浴びたのは、1955(昭和30)年に明治大学の大塚初重氏が実施した測量調査がきっかけ。当時国内最北、東北地方最大の前方後方墳としての学術的な重要性から翌56年11月7日、異例の早さで前方部の一部を除いて国の史跡に指定された。88年には、同市教育委員会の範囲確認調査をもとに、未指定だった前方部の一部と周溝が追加指定された。
 これまでの発掘調査では古墳の頂上に2つの割竹形木棺が並べられて安置されていることを確認。陸橋や墓道も発見されたほか、銅鏡、壺(つぼ)などの遺物も相次いで見つかっており、埋葬された人物は新田川流域を治めていた有力豪族だったと考えられている。
 同市では94年、郷土の貴重な文化財を後世まで保存し、市民の憩いの場として活用しようと「桜井古墳保全整備事業」に着手。発掘調査の結果をもとに前方部は無段、後方部を3段に復元した。同時に周辺の古墳群も遺跡公園として保存整備した。
 2003年5月18日には、原町市制施行50周年記念事業として華やかに開園式が行われ、市民が県内初の本格的な史跡公園の完成を祝った。同日は同古墳公園を発着点に歴史愛好者が市内の文化財を散策する「文化財ウオークラリー」や邦楽コンサートも催され、原町市の新たな名所を利用した試みがスタートした。
 また、駐車場の一角にある管理棟には、コンピューターグラフィックスによる古墳の解説ビデオとゲーム感覚で文化財を学習できる映像設備を整備。案内係として市民を対象にボランティアガイドを募集するなど、地域住民が中心となって歴史遺産を保存していく態勢づくりが進んでいる。 
 >>> 行ってみよう
 JR原ノ町駅からタクシーで約10分。自家用車の場合、国道6号原町市立病院交差点から数分で到着できる。公園整備に伴い、観光客向けの案内板も数カ所に設置され、順路を紹介している。問い合わせは、同市教委文化財課 電話0244・24・5284へ。
<33> 2003.11.14
 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN