ふくしまの風景TOP
こころに残す ふくしまの風景
中村城跡
(相馬市)
往時の面影残す 歴代藩政の中心
中村城跡
相馬氏歴代の居城として往時をしのばせる中村城跡。現在は馬陵公園として桜や紅葉の名所でもあり、多くの市民が散策する憩いの場となっている
 相馬中村藩の居城だった中村城は、馬陵城とも呼ばれる。1611(慶長16)年、相馬利胤が築城し、12月2日、小高城(小高町)から移った。以後、明治初年の藩制改革で廃城となるまで、約260年間にわたり相馬氏歴代の居城として藩政の中心となってきた。
 築かれた場所は、かつて天神山といわれ、坂上田村麻呂が蝦夷征伐の時、菅原敬実を置いて北の守りを固めたという伝説が残る。中村城の特徴は周囲を土塁で囲まれていることで、一般的な城の概念とは異なっている。大規模な城ではないが、本丸の周りに郭、堀、ため池などをめぐらし、二の丸、三の丸も築城当時の姿をよく残している。
 1955(昭和30)年、県指定の史跡に指定され、現在は馬陵公園として市民の憩いの場所となっている。公園の入り口には、大手門と呼ばれている外大手一ノ門があり、築造当時の姿を今に伝えている。
 相馬家の氏神「妙見」を祭り、崇拝してきた相馬中村神社(国の重要文化財)が城郭西側、本丸跡には明治期に相馬氏の始祖・師常を祭る相馬神社が建立され、正月三が日などには多くの参拝者が訪れる。
 7月には国の重要無形文化財にも指定されている相馬野馬追が催される。毎年、総大将と宇多郷の騎馬武者がかつての居城・中村城跡から出陣して勇壮な戦国絵巻を繰り広げる。1千有余年の昔から変わらないひずめと法螺(ほらがい)の音がこだまし、見る人をタイムスリップさせる。
 春は桜の名所、秋は紅葉の名所として市民に四季折々の美しさ、楽しさを与える。本丸には二つの橋が架かり、その色から通称・赤橋、黒橋と呼ばれている。満開の桜や赤く燃える紅葉の中に良く映え、訪れる人に往時をしのばせる。
 「町と城と風の会」を主宰し、定期的に公園内の草刈りやごみ拾いを行っている新妻寛さんは「今でも面影を残す土塁や石垣に触れ、かつての侍たちが歩いた道を当時を想像しながら散策する楽しさは、城下町に住む人間の特権だと思う」と魅力を話す。
 >>> 行ってみよう
 JR常磐線の相馬駅下車、徒歩約20分。タクシーで約5分。福島交通バスでは、駅近くの営業所から「玉野学校前行き」か「車川・原町行き」で「市役所前」下車、徒歩1分。車の場合、国道6号の塚ノ町交差点から国道115号の相馬跨(こ)線橋を渡り数分。
<36> 2003.12.05
 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN