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石炭・化石館
(いわき市)
学術と観光施設 太古の遺産1300点
石炭・化石館
フタバスズキリュウのレプリカが置かれた、いわき市石炭・化石館。フタバスズキリュウの学術的解明が期待されている
 日本有数の化石の産地として名高い、いわき市。のちにその象徴として知られるようになるクビナガリュウの一種の化石が1968(昭和43年)、同市大久町の大久川沿いで発見された。見つかった双葉層群と当時高校生だった発見者の鈴木直さんの名を記念して70年1月20日、発掘に当たった国立科学博物館の技官によって、和名「フタバスズキリュウ」と命名された。
 クビナガリュウは恐竜と同時期に海に栄えた大型は虫類で、海の恐竜「海竜」と称される。フタバスズキリュウは発見後、同博物館による大規模な発掘調査が行われた。全長約6.5メートル、首の長さは約3メートルで、オール状のヒレ足を使い「カメとヘビが合体したような生物」とされている。
 当時を知るいわき自然史研究会顧問の高橋紀信さんは「約8000万年前の中生代白亜紀後期の地層から、頭や胴体など比較的多くの化石が並んで出土するのは珍しかった」とその意義、価値を振り返る。だが、「いわきの人間で発掘すべきだった。収蔵施設もなく、いわきに化石を残せなかったのが無念」という。
 高橋さんの思いを晴らすかのようにオープンしたのがいわき市石炭・化石館。化石と石炭という「いわきの財産」を後世に伝えるため、「学術と観光」という二面性を持つ複合施設として大きな役割を果たしてきた。学芸員の菜花智さんは「いろいろな意味でいわきをPRできる施設」と話す。
 化石、炭鉱関連の展示品は1300点を超え、フタバスズキリュウの化石(複製)は施設の象徴とも言える存在になったが、その名はあくまで和名。いまだ学術的な報告がされておらず、学名はない。「学名が付けば、本当の価値がわかる」と高橋さん。研究に当たっている長谷川善和群馬県立自然史博物館長は「新種であることは間違いない」とした上で、「今年中に報告をまとめる予定」であることを明らかにした。2004年はフタバスズキリュウの真の価値が見いだされる年かもしれない。
 >>> 行ってみよう
 JR常磐線湯本駅下車、徒歩約10分。常磐道いわき湯本ICから車で約15分。観覧料は一般個人が630円(20人以上570円)、中高大学生420円(同380円)、小学生320円(同280円)。開館時間は午前9時から午後5時まで。毎月第3火曜は休館。問い合わせは、電話 0246・42・3155へ。
<40> 2004.1.23
 

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