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こころに残す ふくしまの風景
福島市小鳥の森
(福島市)
”原風景”に響く夏鳥のさえずり
福島市小鳥の森
観察広場の炭焼き窯。間伐された木は、炭やまきになるほか、シシタケのほだ木としても利用される
 新緑がもえ、森の中には飛来したばかりの夏鳥たちのさえずりが響き渡る。人の手が入り、管理が行き届いた「明るい森」。炭焼き窯から立ち上る煙からは、どこか懐かしいにおいがする。福島市小鳥の森には、かつて、人間の生活と自然が密着につながったころの風景がある。
 1983(昭和58)年11月に開園した小鳥の森。開園以来、市民のいこいの場として、環境教育の拠点として親しまれている。84年には昭和天皇、86年には皇太子殿下が視察されている。
 小鳥の森は、コナラやアカマツを中心とした樹木で構成され、敷地面積は約52ヘクタール。作業員や里山保全クラブによる定期的な手入れは、里山独自の生態系をはぐくむ。整備された休耕田には、水生昆虫や両生類、間伐されたコナラにはカミキリムシなどが産卵に飛んでくる。明るい日差しが差し込む林床には、季節ごとに山野草がかれんな花をつけ、来場者を楽しませている。
 小鳥の森では、過去20年間で120種を超える野鳥が観察されている。シジュウカラやヤマガラは、一年中にぎやかに林を飛び回り、春にはオオルリ、キビタキの美しいさえずりが春を告げる。10月からスタートする愛鳥週間には、サンコウチョウの不思議な声が聞こえるかもしれない。
 中心施設のネイチャーセンターには、レンジヤー(自然解説員)が常駐し、自然情報を提供してくれるほか、小鳥の塗り絵やプローチ作りなど、遊びを通して自然の楽しさや大切さを学ぶことができる。センターには、野鳥ファンだけでなく、さまざまな生物の愛好家や家族連れが集い、和や
かな笑い声が絶えない。
 この森に世代の溝はない。まきを手際よく割るお年寄りに、尊敬のまなざしを向ける子どもたち。生き物の話題では、三世代が対等に語り合う。こうした里山の楽しさ、魅力を伝承する子どもたちがいる限り、ふるさとの「原風景」は守られていくに違いない。
 >>> 行ってみよう
 JR福島駅東口から福島交通バスで文知摺方面行きの岡部下車、徒歩30分。周辺には、ハクチョウ飛来のあぶくま親水公園や、ヘルシーランド福島などの公共施設が整備され、小鳥の森は阿武隈川右岸の広域レクレーション施設の中心に。
<6> 2003.05.09
 

福島民友新聞社
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