【いわき】「陶吉郎窯」工房30日オープン 大堀相馬焼の伝統継承へ

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いわき市に工房を持ち、腰を据えて伝統を継承していくことを決めた学さん(右)と賢さん

 東京電力福島第1原発事故で浪江町からいわき市に避難する大堀相馬焼・陶吉郎(とうきちろう)窯の陶芸家近藤学さん(64)が同市四倉町に準備してきた工房が完成した。今月30日にオープン予定で、300年以上の伝統を持つ同町の工芸品を腰を据えて継承していく決意が形となった。

 大堀相馬焼の産地・大堀地区は帰還困難区域だが「地元に戻って産地形成したい」との思いはあった。ただ、芸術の継承に時間経過の影響は大きく、伝統を守りつなぐため、「心機一転」と避難先のいわき市での再起を選択した。

 近藤さんは避難後、同市江畑町で長男賢(たかし)さん(37)と仮の工房を持って作陶を続け、市内で土地探しを続けてきた。同市四倉町の建物を見つけ、3年前から準備してきた。「浪江と同じものをそろえたい」と、設備は震災前の工房と同程度に充実させた。特に力を入れたのは登り窯。時代とともにガス窯や電気窯が主流になり、震災前は近藤さんの窯でもたまに使用する程度だったが、「復活のシンボルにしたい」と登り窯を備えた。

 二十数件あった産地で販売していた震災前とは異なり、大堀相馬焼をいかに知らない土地で販売するかに思考を凝らす。工房敷地にギャラリーを設け、将来的には陶芸教室なども開いていきたい考え。近藤さんは「この場所で陶芸を続けていい形で後継者に伝統をつなぎたい。多くの人にここにあるんだって思ってもらえるように発信していきたい」と話す。工房の開場時間は午前10時~午後6時。当面火曜日定休。問い合わせは工房(電話0246・38・7855)へ。