【南相馬】多くの人と交流の場を 書店「フルハウス」増築計画

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
ブックカフェの増築を計画している書店「フルハウス」=南相馬市小高区

 多くの人にとっての交流の場をつくりたい―。南相馬市小高区の自宅で書店「フルハウス」を経営する芥川賞作家の柳美里さん(50)は、書店駐車場に誰もが立ち寄れるブックカフェの増築を計画している。「地元住民や高校生、遠方から訪れた人たちが共に過ごし、新たなつながり、文化が生まれてほしい」。柳さんはそう願っている。

 柳さんは2018(平成30)年4月に自宅を改装してフルハウスを開店した。学校帰りで電車を待つ高校生が時間をつぶす場所がないことに気が付いた柳さんが、その高校生たちのために自分ができることとして思い付いたのが書店だった。

 東京電力福島第1原発事故による避難指示で避難を余儀なくされた小高区。「原発事故前にあった、一人一人の生活と文化、歴史、それを支えた住民の努力と誇りに連なりたい」という強い思いも、書店を開店する決意につながったという。

 書店には柳さんの著作や、柳さんと知人らが選んだお薦めの書籍が並ぶ。狙い通り、学校帰りの高校生や地元住民、県内外から訪れた人たちが本を手に取り、お気に入りの一冊を買い求めている。しかし10坪ほどの店内は10人も入ると満員。そのため入店を思いとどまる人もいるという。また、被災地の視察先として訪れる人も多く、団体の訪問者の場合は全員が入店できない状態だ。

 常連となった高校生や近所の住民、双葉郡や県内外から訪れる人たちなど、書店には新たなコミュニティーが生まれていると柳さんは感じている。いろいろな人が気軽に立ち寄れる場所をつくりたい。考え付いたのがカフェだった。

 都内で9日に開いたトークイベントで、柳さんは南相馬市への移住や書店を開店するまでの経緯、カフェ開業への思いなどを語った。カフェは誰もが入りやすいガラス張りを考えており、設計は建築家の坂茂さんに協力してもらうつもりだ。「小高駅前にかつてあった東町エンガワ商店のように、飲食できたり携帯電話を充電できるなど、誰もが気軽に立ち寄れる場所にしたい」。柳さんは参加者にその思いを語った。

 ネットで開業資金募集

 柳さんは28日まで、インターネットで小口資金を募るクラウドファンディングのプラットフォーム「モーションギャラリー」(https://motion‐gallery.net/projects/fullhouse‐bookcafe)を通じ、カフェの開業資金を募っている

 目標額は1700万円。支援は1口3000円からで、金額に応じてオリジナル冊子や演劇ワークショップの参加権などの返礼をする。返礼は金額によって異なる。問い合わせはフルハウス(電話0244・26・5080)へ。