【川俣】山木屋の"名物納豆"復活 カミノ製作所、芳醇な香り広がる

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納豆の製造を再開した工場=22日、川俣町山木屋

 東京電力福島第1原発事故の避難区域となり、製造が休止されていた川俣町山木屋地区の名物納豆が22日、4年9カ月ぶりに出荷された。納豆を製造するカミノ製作所社長の神野三和子さん(62)は「山木屋に戻ることを考えている人や事業再開を検討している企業の励みとなり、復興の起爆剤になれば」と願いを込める。製造再開の熱意がこもった納豆が再び店頭に並んだ。

 居住制限区域と避難指示解除準備区域となっている同町山木屋地区での事業再開を決意してから2年。改修された真新しい納豆工場内のクリーンルームに蒸した北海道産大豆の芳醇(ほうじゅん)な香りが広がった。

 パック詰めされ、出荷された納豆は600セット。「一豆賞(いっとうしょう)」と名付けられた"プレミアム納豆"がうまみを蓄え、再出荷の時を迎えた。

 「山木屋で作るからには日本一安全な納豆が必要」。神野さんは製造再開のテーマを定め、準備を進めてきた。入り口にエアシャワーを設置したほか、クリーンルームを設けた。不検出ではあるものの、セシウム除去装置を通して水を使うなど安心・安全に力を尽くしてきた。

 同社は、基幹事業の自動車部品の製造に取り組みながら約20年前に納豆製造に乗り出した。神野さんの夫で会長の学さん(75)の発案で始めた事業だ。学さんは15年前に体調を崩したことが原因で第一線を離れたが、原発事故後も故郷での製造再開への熱意を神野さんに話していた。

 神野さんは「会長が生まれ育ち起業した場所。『山木屋でやろう』のひと言で再開を決意した」と感慨深げに語る。原発事故前に納豆製造に携わっていた菅野元二製造部長(59)も加わり、経験の少ないクリーンルームでの納豆製造を繰り返し、ノウハウを蓄積してきた。

 福島市渡利の販売店「こだわりや本舗」で納豆を販売するが、今後、県内外に販売ルートを広げていく計画だ。「いろいろな不安があったが、山木屋の風景を見ていると日に日に期待が高まっている」。神野さんは納豆の出荷再開に復興の思いを重ね合わせた。

 問い合わせは、こだわりや本舗(電話024・524・2161)へ。納豆は1セット(2パック)税込み125円。