【川俣】老舗商店・杉田屋...そば店へ 「語らい処 やまこや」で再開

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
新調したのれんを店頭に掲げ、再出発を喜ぶ紺野さん(左)とまり子さん

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が今春解除された川俣町山木屋地区で、創業およそ100年の老舗商店「杉田屋」が16日、そば店「語らい処 やまこや」として再開する。杉田屋はかつて百貨店と評された「まちの何でも屋」。避難指示の解除に伴い帰還した住民らが集える「憩いの場」になるようにと、新たに食堂として地域を支える。

 「食に関しては全くの素人。心配はあるよ」。町内で電気工事業会社を営む紺野希予司(きよじ)さん(65)は不安げな言葉を口にしながら、その表情に迷いはない。「みんなが山木屋でゆっくりとした時を過ごせれば」。そんな思いを「語らい処」に込め、店名は江戸時代に山木屋地区を指したとされる「やまこや」とした。

 杉田屋は紺野さんの祖父が明治時代に創業し、父が受け継いだ。商店が少ない同地区でかつては日用品をはじめ、葬儀の花輪や空気銃の弾、位牌(いはい)まで、あらゆるものを販売、「杉田屋百貨店」と呼ばれて住民に愛されてきた。

 しかし原発事故により、父が経営していた店は休業を余儀なくされ、震災から2年後にその父も他界。「杉田屋ののれんを守ることが親孝行になればいい。杉田屋の名に恥じない店にする」。紺野さんは電気工会社の代表権は次男に譲り、食堂経営に専念するつもりだ。

 食堂では紺野さんの幼なじみらが手打ちする、そばを中心に提供する。限定30食だが、喜多方市産のそば粉「会津のかおり」を使った十割そばを盛りそばと鴨(かも)そばで振る舞う。そば以外にも妻まり子さん(63)ら地元の"母ちゃん"たちが腕を振るい、おはぎやかしわ餅、「川俣シャモ」を使ったおこわのおにぎりなどを提供する。「わざわざ山木屋に来てもらうんだから、よそでは食べられないものを出したい」と地元ならではの食にこだわった。

 食堂は金、土、日曜日のみ営業。時間は午前11時~午後2時30分。水~日曜日は店舗の利用が可能で、時間は午前9時30分~午後6時。