民友マンガ大賞に茨城の小林尚武さん マンガ部門テーマは「非常事態」

 
大賞に選ばれた小林さんの作品「ミサイルとキツツキ」

 福島民友新聞社の第39回民友マンガ大賞の入賞作が決まり、マンガ大賞に小林尚武(なおたけ)さん(69)=茨城県つくば市=の「ミサイルとキツツキ」が選ばれました。表彰式は来年2月4日に福島市の福島民友新聞社で行われた。

 マンガ大賞は日本漫画家協会東北ブロックの後援。今年のテーマはマンガ部門が「非常事態」、絵手紙部門が「いきいき」。似顔絵部門は有名人・著名人を対象に募集した。

 3部門に179点応募 入賞作品3日に掲載

 第39回民友マンガ大賞では県内外のアマチュア漫画家や愛好者が発想力や表現力を競った。「非常事態」がテーマのマンガ部門には世界情勢に風刺を効かせた作品、「いきいき」がテーマの絵手紙部門には健康をユニークに表現した作品などが寄せられ、個性が光った。

 マンガ部門に42人63点、絵手紙部門に69人78点、有名人・著名人を対象に募った似顔絵部門には27人38点の応募があった。

 画家で日本漫画家協会員の和田恵秀さんを審査委員長に、福島民友新聞で4こま漫画「ももちゃん」を連載する漫画家のおだれいこさん、日本漫画家協会東北ブロック長の一ノ瀬善正さん、福島民友新聞社の小野広司編集局長が審査した。

 和田さんは「今年も名作・迷作が寄せられ、審査員を悩ませた。マンガ大賞は一ひねりの面白さと絵のうまさがあっての入賞。絵手紙は絵と文と印のバランスが大切だ」と総評した。

 入賞作品は来年1月3日付の紙面に掲載される。

 受賞者

【マンガ大賞】(大トロフィー、賞金10万円)
「ミサイルとキツツキ」小林尚武(69)=茨城県つくば市
【マンガ部門】
◇金賞(盾、賞金3万円)
「大統領!角抜きでお願いします」須田大(57)=福島市
◇銀賞(盾、賞金2万円)「怒り!!」有我秀雄(68)=須賀川市
◇銅賞(盾、賞金1万円)「再び巣ごもり生活へ」木野田博彦(64)=さいたま市
【絵手紙部門】
◇金賞(盾、賞金3万円)「野菜を食べて毎日いきいき」冨田晴夫(80)=福島市
◇銀賞(盾、賞金2万円)「ウオーキングで人生いきいき」久野敏子(72)=いわき市
◇銅賞(盾、賞金1万円)「馬力UP!!」新庄すが江(62)=横浜市
◇人生100年時代賞(盾、賞金1万円)
「お口の体操 パ・タ・カ・ラ~」 伊藤ハナ子(92)=南相馬市
【似顔絵部門】
◇金賞(盾、賞金3万円)「井上尚弥さん」安永和義(70)=東京都清瀬市
◇銀賞(盾、賞金2万円)「関脇 若隆景関」森山諒子(34)=福島市
◇銅賞(盾、賞金1万円)「こんにちは~」岡田瑛子(40)=喜多方市
(敬称略)

 平和を願う思い伝える 小林さん、大賞受賞の喜び

 「作品を通して皆さんに平和を願う自分の思いを伝えることができたと思う。うれしい限り」と声を弾ませた。

 描いたのは大きなミサイルと、その先端に止まったキツツキ。「テーマに沿って誰もが非常事態だと分かることを一番に考えた」と説明した。こだわったのはミサイルの角度。先端にキツツキが止まっているということが分かるように迫力を残しつつも、あまりミサイルを目立たせないように調整した。

 漫画に興味を持ったのは小学生の時だった。漫画家・手塚治虫の「鉄腕アトム」を見たことがきっかけで描き始めた。しかし高校や大学、社会人になると勉強や仕事で忙しくなり、漫画から遠ざかった。

 再び始めたのは40歳の頃。仕事で出会ったミニコミ紙の編集局長から依頼され、紙面掲載用に約5年間、一こま漫画を描いた。「一つの絵で何かを伝えられることに魅力を感じる」と漫画への思いを語る。

 「家族も受賞を喜んでくれているし、自信にもなる。今後の作品制作へとつながっていく」。一層技術に磨きをかけ、描き続ける。