楢葉町消防団に民友旗

 
「民友旗」の本年度受賞団体に決まった楢葉町消防団

 震災時、避難誘導 帰還後は団員確保尽力

 県内消防団の最高の栄誉とされる「民友旗」の本年度受賞団体が、楢葉町消防団(小薬(こぐすり)金重団長)に決まった。受賞は初めて。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生時に住民の避難誘導などに貢献したほか、避難指示解除後は居住人口が震災前の約半数となる中、火災予防に尽力してきた活動が高く評価された。

 表彰は例年、県消防大会で行われてきたが、今年は新型コロナウイルス感染症対策として大会が中止となったため、同消防団には10月4日、楢葉町で行われる同消防団の秋季検閲式の席上、民友旗が授与される。

 同消防団は旧木戸村と旧竜田村の合併に伴い、1956(昭和31)年に発足、現在は7分団に238人が在籍している。震災時は2011年3月11日から2日間、延べ244人の団員が沿岸部の住民に大津波の災害広報や避難指示を周知。団員1人が殉職、1人が大けがをしたが、津波から4人を救助した。

 原発事故対応では、全町避難に向けた避難誘導を実施。断水となったいわき市の避難所では小型消防ポンプを使用し、学校プールからの生活用水の給水や救援物資の受け入れ、炊き出しなどに18日間で延べ1024人が従事した。

 また、15年9月に避難指示が解除された後、定期的な火災予防啓発や消防水利の点検を実施。団員の確保に向けては、昼夜を限定した活動や特定の災害のみ活動する「機能別団員制度」を創設し、退団した住民や町内事業所の従業員に入団してもらうなど防災力の向上に努めている。

 昨年10月の東日本台風(台風19号)発生時には58人が出動し、浸水危険箇所に土のう袋を設置するなどして被害を最小限に抑えた。同消防団は1981年に日本消防協会長表彰、96年に県知事表彰、2011年に消防庁長官表彰を受けている。

 福島民友新聞社は56年から、地域の安全を守る優良消防団を顕彰し、県民の防火意識の高揚を図るため民友旗を贈っている。

楢葉町消防団

 一丸となって活動
 楢葉町消防団・小薬(こぐすり)金重団長
 民友旗を初めて受賞できるのは大変な名誉で、励みになる。団員の半分近くに当たる約100人が避難先から町に戻った。住民の安全・安心につながる地域の実現に向けた消防団の役割は大きい。団員一丸となって活動していく。