川俣町消防団に民友旗

 
「民友旗」の本年度受賞団体に決まった川俣町消防団

 町内巡回、火災予防 震災時避難で中心的役割

 県内消防団の最高の栄誉とされる「民友旗」の本年度受賞団体が、川俣町消防団(菅野一意(かずい)団長)に決まった。同消防団の受賞は初めて。東日本大震災発生直後の迅速な対応に加え、火災予防期間中に町内をくまなく巡回することで火災発生件数の減少に貢献している点などが高く評価された。

 表彰は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い昨年まで2年連続で中止していたが、本年度は規模の縮小や内容の簡易化を図った上で、6月4日に須賀川市で開かれる第75回県消防大会の席上で実施する予定。出席者は400人程度となる。感染拡大に伴う緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置などが発令された場合は中止する。

 川俣町消防団は1955(昭和30)年3月の町村合併促進法に伴う1町7村(川俣町、富田村、福田村、小島村、飯坂村、大綱木村、小綱木村、山木屋村)の合併時に誕生。現在は10分団543人が在籍している。

 団員の資質向上を目的に県消防学校への入校や同校での校外教育、訓練指導員の養成を行い、専門的知識や訓練礼式、ポンプ操法などの習得で任務の達成を図っている。火災予防活動では、毎年2~3月中旬に人口密集地の分団が夜警を行っているほか、チラシを配りながら家庭の防火診断を実施している。

 2011年の震災と東京電力福島第1原発事故発生時は、町への避難者約6500人に対する避難所の設置や誘導などで中心的な役割を担った。原発事故に伴う屋内退避区域が原発から40キロ圏まで拡大された際には、放射線量など町内の状況を周知し、住民の安心の確保に努めた。

 また同町山木屋地区が計画的避難区域に指定された際、全戸避難が完了した地区内の防犯を目的に結成された「山木屋地区地域安全パトロール隊」で、団員が隊長を務めるなど活動を主導。団員はパトロール隊での活動で、団活動で培った消防・防災技術と原発事故後に継続してきた知識やノウハウを生かして安全・安心の確保に尽力した。

 川俣町消防団は12年に知事竿頭綬、15年に消防庁長官竿頭綬、昨年には日本消防協会表彰旗を受賞している。

 福島民友新聞社は1956年から、地域の安全を守る優良消防団を顕彰し、県民の防火意識の高揚を図るため民友旗を贈っている。

菅野一意団長

 住民の安全・安心追求 川俣町消防団・菅野一意団長

 受賞は団員全員とその家族の努力の結果であり、大変光栄。自分たちの地域は自分たちで守るという心構えを持ち、予防消防や夜警活動のほか、行方不明者の捜索に尽力してきた。今後も環境の変化に対応しながら、住民の安全・安心のために活動していきたい。