ブリューゲル展【鳥罠】楽しい風景に潜む警告

 
ピーテル・ブリューゲル2世「鳥罠」(1601年 Private Collection)

 16、17世紀の欧州で最も影響力を持った画派の一つで、優れた画家を輩出したブリューゲル一族。祖であるピーテル・ブリューゲル1世から子孫へと画家の魂は受け継がれ、絵画様式と伝統を築き上げた。郡山市立美術館で1月11日に開幕する展覧会の作品を紹介しながら、一族の全体像に迫る。

 画面右手に見える大きな木の根元近くに、簡単な仕掛けの鳥罠(とりわな)があって、それが作品のタイトルになっています。とはいえ、この絵はむしろ点在する人々の姿が目を引きます。

 広場に集まった人々がスケートやカーリング、ホッケーなどの冬の遊びを楽しんでいるところでしょうか。元々ここは川で、水面が凍って氷に覆われているようです。にぎやかな声が聞こえてきそうな画面です。

 高い人気を誇ったピーテル1世の作品は、王侯貴族など富裕層に購入され、庶民は実際の作品を目にすることができませんでした。そこで息子たちは、父の残した下絵などを基にコピーを制作、父の名前がより広く知られることにもなりました。

 長男のピーテル2世は、生涯、父のコピーを制作しましたが、特にこの鳥罠を最も多く制作したことが知られています。絵の底辺近く、やや左寄りに楕円(だえん)形が見えるのが、氷に開けられた水くみ用の穴。鳥罠と合わせて「罠に落ちる」ことを暗示していて、だまされやすい人間への警告でもあります。楽しそうな日常の風景には、教訓も込められているのです。