ブリューゲル展【最後の審判】目奪われる地獄の世界

 
ピーテル・ブリューゲル1世(下絵)ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(彫版)「最後の審判」(1558年 Private Collection)

 画面中央の上部に、正面を向いて座るキリストが描かれています。左右には天使がふたりずつ、さらにその外側には聖人の群像。それぞれの姿勢や体の向きなど違いはあるものの、左右対称に配置されています。秩序ある天上の世界を象徴しているようです。

 キリストの下には、無数の人間。左手には画面奥へと進む人々の群れ。山を登るように、少しずつ上へと歩みを進めています。彼らは天国へ迎えられる祝福された人々です。

 右手に進む人々は、大きく開いた口の中へと進んでいきます。魚のような、えたいの知れない怪物は、地獄を象徴しています。

 画面の下方にも、口から人の足や手が出ている魚や、頭は人で体は獣だったりといった異形の生きものが地を這(は)っています。これらも地獄のイメージを視覚化したもの。左手に見える、ひな鳥のいる巣を乗せた、フクロウのような顔をした生きものは、ちょっとユーモラスでさえあります。

 恐ろしいはずの地獄ですが、異形の生きものなど現代のマンガにも通じるような描写に目を奪われ、つい見入ってしまうのではないでしょうか。