日本と西洋の出会い感じる 女優・鶴田真由さんに聞く、ジャポニスム展

 

 ブダペスト国立工芸美術館名品展「ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」は24日、福島市の県立美術館で開幕する。

 19世紀にヨーロッパの芸術文化「アールヌーヴォー(新たな芸術)」に大きな影響をもたらした日本の芸術文化「ジャポニスム」は、海を越え人々を驚かせ、絵画や工芸などに取り入れられた。

展覧会では、ヨーロッパ美術工芸を代表するガレやジョルナイ、ドーム兄弟などの至宝が展示され、世界に発信された日本の芸術文化を改めて知る機会となる。

 西洋美術に詳しい女優・鶴田真由さんに、鑑賞のポイントや注目の作品などについて聞いた。

―鶴田さんは西洋美術に造詣が深く、美術の語り部としてその魅力を伝えています。まずは美術鑑賞の楽しさについてお聞かせください。

 「あまりジャンルにはこだわりがなくて、自分が美しいと感じた作品が好きです。琴線に触れる作品と出合うと、どきどきしたり、インスピレーションを得たりします。そして『今の私はこういう作品が好きなんだ』という発見があり、『なぜなのだろう』と追究していくと、新たな自分と出会えたりする。そのやりとりが面白いなと思います。時間がたつと好みが変わることもあり、そうやって自分と対話しながら作品を鑑賞するのが好きですね」

―今回の展覧会ではジャポニスムがもたらしたアール・ヌーヴォーのヨーロッパ工芸を紹介します。

 「ヨーロッパの人々は日本美術の造詣や色使いに新しさを感じたのだと思います。そこに注目していただけたのは日本人としてうれしいですね。立体を平面に捉える描き方や、着物でよく見られるような赤に緑を合わせるという反対色を使った配色などは斬新だったのではないでしょうか。今度はそこから逆輸入され、日本人が自分たちの文化の魅力に改めて気付く流れも、素晴らしい出来事だと思います」

―アール・ヌーヴォーという芸術運動についてはどんな印象がありますか。

 「父がデザイン関係の仕事をしていて絵も描いていました。私が小さい頃、絵や模様を描いていると『つるや葉っぱが伸びていく動きをイメージして描くといいよ』と教えてくれました。言ってしまえば、植物の姿そのものは神様が作ったデザイン。だから、それ以上に美しいものはないわけです。そこに立ち返る動きがアール・ヌーヴォーだったのではないでしょうか」

―今回はジャポニスムの影響を受けた作品が展示されます。鶴田さんが注目する作品は。

 「日本と西洋、両方の文化が等しく混ざり合う作品に魅力を感じます。例えば白い瓶にトンボが描かれたエミール・ガレの『蜻蛉文花器』。細長い口のところに、トンボの尻尾がスッと入っている。余白の作り方に日本っぽさを感じました。底の部分には蓮池が描かれ、遠近法のバランスは取れていないのだけれど、そこがまた味わい深くて面白い。色に関することで言うと、白を背景に藍色で絵付けをしているのに、上の部分ほどピンク色になり、先っぽは紫色。そこに日本と西洋の出合いを感じます」

―注目する作家だと誰でしょう。

 「やはりガレの作品が好きですね。菊の模様が入る今回の出品作『菊花文花器』は、蒔絵が意識されているのではないでしょうか。ガレは葛飾北斎の影響を大きく受けていて、透明なガラスに鯉を描いた作品もあります。繊細なのに大胆、そして少しグロテスクだけど、描かれた動植物がどれも生き生きしている。こういう生命力がみなぎるような作品の力強さは、日本美術の影響だと思います」

―今回アールヌーヴォーに触れる県民へのメッセージをお願いします。

 「当たり前のことですが、画集やインターネットで見るのと、本物を目の前で見るのとでは全く違います。本物を見ておくと、そうでないものを見た時に『あれ、何か違う』と気付くようになると思うのです。美しさや力強さの違いですね。だから本物に触れておくことは大切だと思います。そして自分がどんなことに心が動くのかを知ることも、いい体験になるはずです。特に今回は遠いヨーロッパからの作品展ですから、この機会にぜひ足を運んでみてください」

鶴田 真由(つるた・まゆ) 鎌倉市生まれ。成城大学文芸学部(西洋美術史専攻)卒。88年「あぶない少年Ⅱ」で女優デビュー後、多くのドラマや映画に出演。旅番組、ドキュメンタリー番組への出演も多い。96年「きけ、わだつみの声 Last Friends」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。番組出演がきっかけで2008年、第4回アフリカ開発会議親善大使に任命される。