【北斎を語る】青年期役・柳楽優弥さん 圧倒的なエネルギー

 
やぎら・ゆうや 1990年生まれ。東京都出身。「誰も知らない」(2004年、是枝裕和監督)で日本人初のカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を最年少受賞。主な出演映画は「星になった少年」(05年)、「許されざる者」(13年)、「銀魂」シリーズ(17、18年)、「ザ・ファブル」(19年)など。主演のドラマ「二月の勝者―絶対合格の教室―」(日本テレビ系=中テレ)のほか、映画「太陽の子」、ネットフリックス映画「浅草キッド」を控える。

 米ミネアポリス美術館のコレクション展「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品展」が7月8日に福島市の県立美術館で開幕する。中世から近代までの名作には葛飾北斎(1760~1849年)ら江戸時代を彩った浮世絵師の作品も含まれ、その仕事も見どころの一つだ。「謎多き天才」北斎の生涯に迫った映画「HOKUSAI」(公開中)で、青年期の北斎役を演じた俳優の柳楽優弥さん(31)、老年期を演じた田中泯(みん)さん(76)がそれぞれ、北斎の魅力や作品に込めた思いを語った。(聞き手・編集局次長 佐藤掌)

 ひたむきに前進む

 ―どんな北斎像を目指したのでしょう。
 「青年期の情報が残されていなかったので、橋本一監督と映画ならではの北斎像を一つずつ組み立てていきました。世界的アーティストとして知られる人なので、どう演じたらいいのだろうと悩みました。この作品での北斎を演じていく中で、骨太な男らしいイメージを抱くようになりました。作中で力強く、ひたむきに前に突き進む北斎はいわば『情熱系北斎』でしたね」

 ―「世界で最も有名な日本人画家」を演じるに当たり、心掛けたこと、共感したことは。
 「想像ですが、北斎は自作に全く満足せず、いろいろなものから刺激を受け『もっと上、もっと上』と常に絵と向き合い続けたのではないかと思います。時がたっても作品が多くの人に影響を与えたり、パスポートやお札になると聞くと、90年の生涯では収まりきれないほどの勢いがあるんだと感じます。これだけ人にエネルギーを与え、評価され続けているアーティストは圧倒的な存在なんだと感じました」

 ―北斎が成長する過程も柳楽さんが演じる上でのポイントになっていたのでしょうか。
 「版元の蔦屋(つたや)重三郎(じゅうざぶろう)は今の芸能界でいうプロデューサー。北斎のような表現者はその人たちに認められたいし、同時代の浮世絵師である(喜多川)歌麿も(東洲斎)写楽も『自分が一番うまいんだ』と描いていたのだと思います。表現者として『誰かに認められたい』という気持ちは共感できるポイントです。一方、映画はチームプレーです。絵は一人で描くものですが、想像はできます。負けたくない気持ちや、自分の絵はもっと認められるはずだという気持ち、根拠のない自信などがエネルギーとなり、すごい可能性を秘めているんだと青年期の北斎を演じて感じました」