かつての信夫橋、克明に 「もうひとつの日本美術史」見どころ紹介《1》

 

◆高橋由一【画】《信夫郡福島町酢川ニ架スル信夫橋ノ図》(『三県道路完成記念帖』より)1885年 リトグラフ、手彩、絹 個人蔵

 福島市の県立美術館は30日まで、近代版画をテーマにした展覧会「もうひとつの日本美術史」を開いている。
 国内有数のコレクションで知られる和歌山県立近代美術館と、日本を代表する版画家・斎藤清のコレクションを有する県立美術館による展覧会。明治から平成にかけての名作約300点を展示し、日本の近現代芸術を振り返る。展示作品の魅力について、県立美術館学芸員の紺野朋子さんと坂本篤史さんが解説する。

 明治期の日本では木版や銅版、石版など、さまざまな技法で刷られた印刷物が大量に出回っていた。のちに版画を志す美術家たちは、こうした豊かな印刷文化の中で生まれ育った。

 展覧会には、この時代の福島県の風景を表した作品が出品されている。「土木県令」とも称される三島通庸(みしまみちつね)が福島、山形、栃木の3県に建設させた道路を克明に描写した『三県道路完成記念帖』である。洋画家の高橋由一が徒歩などで各地を巡って下絵を描き、弟の源吉らが石版画にした、3巻で構成される貴重な作品だ。

 福島編の中でひときわ存在感を示しているのが、記念帖が完成した1885(明治18)年に、2代目として完成した福島市の信夫橋を描いたものだ。13連のアーチで構成される近代的な建造物。在りし日の福島がしのばれる。(県立美術館学芸員・坂本篤史)

その他の作品情報

■小林清親【画】《「東京昇栄舎大勉強」絵びら》明治20年代 リトグラフ 西宮K氏コレクション
■岡村政子【画】、酒井鈴子【石画】《忠臣義士》1891年 リトグラフ
 西宮K氏コレクション
■中丸精十郎《「ギゼー」大石塚并二「スフインクス」ノ図》(『輿地誌略』巻8より)1875年 エッチング 西宮K氏コレクション

【会期】8月30日まで
【場所】県立美術館(福島市森合字西養山1)
【開館時間】午前9時30分~午後5時(入館は同4時30分まで)
【休館日】毎週月曜(10日は開館)、11日
【観覧料】一般・大学生1000円、高校生500円、小・中学生300円
【主催】県立美術館、福島民友新聞社、読売新聞社、美術館連絡協議会、福島中央テレビ
【協賛】ライオン、大日本印刷、損保ジャパン