昭和歌謡史に輝く 野村俊夫生誕115年・古関裕而生誕110年記念鼎談(1)

 
渡辺啓道さん(右)と斎藤秀隆さん

 福島市が生んだ昭和を代表する作曲家・古関裕而。古関の幼なじみにして、後に名コンビとなって数々のヒット曲を世に送り出した作詞家・野村俊夫(本名・鈴木喜八)。今年は古関の生誕110年の年にあたり、11月21日は野村の生誕115年の日にあたる。野村の長男鈴木克東さん、野村・古関の研究家斎藤秀隆さん、野村・古関の功績を街づくりに生かす活動を展開する渡辺啓道さんの3人に、野村・古関が手掛けた音楽作品の魅力や人柄、エピソードなどを語ってもらった。

【出席者】

野村俊夫の長男 鈴木克東さん

野村俊夫・古関裕而研究家 斎藤秀隆さん

福島商工会議所青年部副会長 渡辺啓道さん

 ◆昭和歌謡史に輝く

 司会 はじめに野村俊夫と古関裕而への思い入れを、斎藤さんと渡辺さんからそれぞれお聞かせいただきたいと思います。

 斎藤 野村先生と古関先生はまさしく名コンビで、たくさんのヒット曲を作っています。野村先生は61歳で亡くなっており、私としては大変残念な思いがあります。男盛りで仕事も一番脂の乗った時期であり、これからますます活躍が期待された時でした。野村先生本人も残念、ご家族も大変に気を落とされ、昭和歌謡の世界にも大きな痛手だったと思います。

 生誕115年という節目の年に、彼の業績と資料に再び光を当て、昭和歌謡発掘の「キーパーソンの一人」としてよみがえるのを期待しています。

 島倉千代子さんが歌った「東京だョおっ母さん」、近江俊郎さんが歌った「湯の町エレジー」、古関先生と組んだ「暁に祈る」(※1)の三つの大きなヒット曲がよく知られています。

 司会 古関裕而と妻金子(きんこ)の生涯を描くNHKの連続テレビ小説が来春、放送される運びです。渡辺さんは、実現に向けて署名活動を進めたと伺っています。

 渡辺 始めるきっかけは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決定し、福島で何かできないかと考えたことでした。「オリンピック・マーチ」を作曲した古関先生にスポットを当てたいと業績を調べ、斎藤秀隆先生の本などを読み、福島にすごい人がいたということに驚かされました。古関先生と野村先生のコンビで数々のヒット曲を世に送り出したことを初めて知りました。

 野村・古関両先生に共通するのは福島への望郷の思いです。古関先生は金子さんに「あなたはいつも福島のことばかり」と言われていたというエピソードも知り、福島を盛り上げるために、両先生に改めて力をお借りしたいと思いました。

 連続テレビ小説は古関先生と妻金子さんがモデルであり、役の設定では「コロムビア三羽ガラス」(※2)と言われた古関先生、野村先生、歌手の伊藤久男さん(本宮市出身)をモデルにした「福島三羽ガラス」が登場し、野村先生も重要な役どころのようです。福島としては盛り上げに失敗できないというプレッシャーも感じています。

 ※1 東京だョおっ母さん

 1957年発表。作詞・野村俊夫、作曲・船村徹。島倉千代子が歌い、発売当初60万枚の売り上げを記録した。上京した母親の手を引いて、戦死した兄が眠る靖国神社を詣でる情景が描かれた歌詞は、ガダルカナル島で戦死した野村の弟鈴木忠治郎(五男・福商昭和10年卒)を悼む歌詞でもあったとされる。

 ※2 コロムビア三羽ガラス

 コロムビア三羽ガラス 作曲家古関裕而、作詞家野村俊夫はともに福島市出身で、歌手伊藤久男は本宮市出身。3人は同じレコード会社コロムビアに所属していた。3人が生み出す楽曲は大ヒットを連発し、昭和歌謡発展に大きな役割を果たした。

 暁に祈る 1940年発表。作詞・野村俊夫、作曲・古関裕而。野村の名を不動のものとした戦時歌謡。時局押し詰まる中、映画「暁に祈る」の主題歌として制作され、若き伊藤久男が抜群の歌唱力で歌い上げると大ヒットを記録した。