その昔、達南地方に養蚕と機織りなどの織物技術を伝えたとされる小手姫を供養する山としてその名が付けられた女神山。川俣町と伊達市月舘町にまたがり、山開きでは県内外からの愛好家が集まる。
約1400年前、第32代崇峻天皇の妃(きさき)の小手姫は政変で崇峻天皇が亡くなった後、わが子の蜂子皇子を追い達南地方を訪れた。その際、村人たちに機織りの技術を教えたと言い伝えられている。
約1時間の登山コースを経て山頂に着くと玄武岩が並び、「いぼ石」と呼ばれる小手姫のご神体が祭られている。
植物がかれんな花を付けるこの時期、登山コースではさまざまな山野草を楽しめる。タンポポの原種なども見つけることができ、愛好家は目を凝らして歩みを進める。女神山の整備を続けている「女神山を愛する会」の蓮沼昇会長はほぼ毎日、女神山を歩く。植物に深い知識を持つ蓮沼会長と歩くと、何げなく生える植物がさまざまな価値を持っていることに気付く。
大きな玄武岩が転がっている山頂からは飯野町の千貫森や天井山、川俣町の花塚山、伊達市霊山町の霊山などが一望でき、視界の良いときは吾妻連峰の美しい山並みまで広がる絶景だ。
ふもとには川俣町指定天然記念物の「秋山の駒ザクラ」がある。樹齢400年以上で、高さは19メートル。山開きでは山頂から戻る際に駒ザクラを回って帰るというのが定番のコースとなっている。
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