宇津峰山は阿武隈山系の独立峰で、須賀川市東部と郡山市南東部の境にそびえる。山全体が南北朝時代の城跡で、雲水峰とも表記される。1931(昭和6)年に国指定史跡となり、自然美あふれる風景の中にも戦いの歴史が刻み込まれていることを感じさせる。
1340(興国元)年。南朝方の鎮守府将軍北畠顕信は、後醍醐天皇の孫守永親王を奉じて宇津峰に山城を築き、北朝方と激戦を繰り広げた。しかし、13年後にあえなく落城、これで東北地方の南北朝の争乱が終結したと伝えられる。
現在は遊歩道が整備されており、郡山側は谷田川の馬場平登山口、須賀川側は塩田の清水登山口が主な登山口とされる。今回は須賀川側から山頂を目指した。
清水登山口は標高450メートルほどに位置し、車で乗り入れられる。駐車場前には「ふくしまの水30選」に選ばれた「雲水峰清水(うつみねしみず)」の水飲み場があり、わき出る清水を容器にくみ、登山を開始した。
鳥居をくぐり、山道を登ると「こかげ広場」と名付けられた野原が広がる。ここから山頂までは600メートル。所々に急傾斜があるものの、手すりがあるため初心者や子どもでも登りやすい。
山頂には守永親王らを祭る雲水峰神社、千人溜(だまり)と呼ばれる土塁が残るほか、雲水峰城址の石碑など顕彰碑が立ち並び、動乱の歴史を静かにしのばせる。松の古木や雑木が茂り眺望は開けていないが、木立の間から郡山盆地や遠くに奥羽山脈などが望める。
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