古殿町の中央にそびえ、町のシンボルとして親しまれている鎌倉岳。四季折々の姿を見せ、ハイカーたちを出迎える。
鎌倉岳の名は、尾根が鎌(かま)のように細く岩場(倉)があることに由来しているが、地元に残る見岳姫の昔話から名付けられたともいわれる。その昔、鎌倉から竹貫城に嫁いできた見岳姫が、故郷恋しさのあまり毎日泣いていた。見かねた家臣が、「あの高い山を登れば鎌倉が見える」と慰めたそうだ。以後、この山は鎌倉見岳山とも呼ばれ、4月の山開きの際に見岳姫祭りも開かれている。
古殿町役場から鮫川を渡り、左手に見えるのが鎌倉岳。林道石井草・大作線を上がっていくと、駐車場などを備えた広場がある。そこまで車で上がり、登山を開始するハイカーが多い。
広場の一角には、長寿の強清水がこんこんとわき出ている。長い間、変成岩が磨き抜いた名水は、登山者の渇いたのどを潤す。
尾根に沿って進むと、遊歩道の分岐点が見えてくる。周回コースに入らず、直進して急こう配を登れば約5分で頂上に着く。頂上には10畳ほどのスペースがあり、そこから眺める蓬田岳や芝山など阿武隈の山々の絶景は見事。急登の苦しさも一気に吹き飛ぶ。
一方、遊歩道は頂上を囲むように約1.5キロの左回りと右回りの周回コースが用意されている。途中にはカツラやケヤキの古木の森のほか、4月中旬から下旬にはイワウチワやカタクリの花が咲き誇る。
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