富士山が見える「北限」の山。円すい状の山容の頂点からは、360度の大パノラマを楽しむことができ、雄大な眺望が登山客の人気を集めている。
登山道は「北口」(全長約4キロ)と「南口」(同約1.5キロ)の二つ。いずれも林道が整備されており、初心者や家族連れでも気軽に登ることができる絶好のハイキングスポット。
北口登山道は、登り始めると民家などが並び、里山の風景が広がる。足を進めるうちに登山道は杉林に入り、山頂周辺では杉林は雑木に変わる。山頂では、古くから信仰を集める羽山神社の鳥居が出迎える。約1時間30分の「小旅行」。木漏れ日に清新な空気を味わいながら、生活に密着してきた羽山の変遷を感じることができた。
山頂からの眺望は、西に安達太良山まで山並みが続き、東に阿武隈山系の緑が連なる。「普通は見える都市部の街並みがない。羽山の魅力はこの山並み」。静岡県から移り住み、登山口付近でパラグライダースクールを運営している浅子智由さん(38)は絶賛する。山頂のテイクオフ場から飛び立つカラフルなパラグライダーは、山並みの緑にアクセントを加え、眺望を一層引き立てる。
5月下旬に行われる山開きのころはツツジが満開になり、山頂の風景は色鮮やか。また、地元の住民は、旧登山道の復活を夢見て、不動滝周辺や鏡池など、徐々に整備を始めている。新たな魅力が増した羽山の登山も楽しみだ。
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