山頂に神社を持つ烏峠は信仰の山でもある。
山域は生活環境保全林として整備されている。静かなたたずまいながらも、周囲には10コースの遊歩道があり、変化に富んだ四季折々の景観が楽しめる。
山すそに沿った村道を進んでいくと道路脇に「さえずりの道」の標識。案内板がなければ山頂への入り口とは気付きにくい。日常から、ほんのひととき抜け出してみるには似つかわしい”門”かもしれない。
雑木林の中、はじめはやや急な上りが続く。こけむした石段をしばらく行くと緩やかなこう配となり、足取りも軽くなる。
15分ほどで林道「峠線」に出る。少し下ると「弘法の道」の入り口が現れ、再び、遊歩道に戻って山頂を目指す。林の中はひんやりとして気持ちがいい。「神域」の懐深く踏み入ったような、すがすがしい気分になってくる。
登り始めてから30分ほどで山頂着。828(天長5)年の造営と伝わる「烏峠稲荷神社」が鎮座し、境内は静寂が支配する。石鳥居と山門をくぐり抜けて石段を上ると荘厳な本殿がそびえ建つ。浮き彫りや透かし彫りが施された造りに歴史の息遣いを感じる。
ここからは那須連山、晴れた日には吾妻連峰を望むこともできる。ふる里の景観をじっくり味わうなら、すぐ下にある「円満平」がいい。
下山後に汗を流すには、林間の公共の宿「泉崎カントリーヴィレッジ」のさつき温泉がある。
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