奇岩怪石がそそり立つ岩肌に絶好の眺望が楽しめる県立自然公園「霊山」の紅葉が見ごろを迎え、県内外から大勢の登山客が訪れている。鮮やかに色づいた木々を楽しみながら、山に眠る歴史を訪ねた。
霊山道先案内人の会の菅野家弘さん(64)と、霊山登山口から天狗の相撲場、護摩壇、蟻の戸渡りなどを巡るコースを歩く。はじめは岩石の道が続くが、中腹から足元は落ち葉のじゅうたん。ギュッと踏みしめながら林の中に歩を進める。
山道を30分ほど進んだ甲岩周辺からは、国司沢や天狗の相撲場など霊山の西側を望み、岩肌と絵の具をちりばめたような紅葉のコントラストが目に飛び込む。晴天時には、最高峰の東物見岩から太平洋までの大パノラマが広がる。弁天岩では、紅葉と絶景に囲まれる中、思わず岩の上で寝そべりたくなった。
最高峰に至る前に、霊山城跡から霊山寺跡まで足を延ばした。霊山寺は、859(貞観元)年に慈覚大師によって開山されたが、1347年に南北朝の動乱により消失したという。霊山城は、南北朝時代に北畠顕家が社寺仏閣を転用した寺院城郭。
いずれも今は礎石だけを残すが、かつて東北山岳仏教の一大中心地だった霊山の歴史を垣間見ることができ、菅野さんは「歴史をかみしめながらゆっくりと歩いてほしい」と話す。
ふもとの「りょうぜん紅彩館」では、展望風呂や四季の料理で疲れた体を癒やすことができる。
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