|
かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
|
【 16 】 オオタカ
|
|
環境に適応 個体数増やす
|
|
獲物を脚に握り締め、幼鳥を呼ぶオオタカの雄。鋭い眼光に里山生態系の頂点に立つ猛禽類の貫禄が漂う=福島市郊外
|
早朝の雑木林に「キッキッキッ」と甲高い声が響く。オオタカの親が巣立ちした幼鳥を呼ぶ声だ。餌の受け渡し場所に降り立った雄の脚には、羽をむしられたヒヨドリ程度の大きさの小鳥が握られていた。
オオタカは、里山の生態系の頂点に立つ猛禽(もうきん)類。獲物はツグミ程度の大きさの小鳥からハト、カモ、小型哺乳(ほにゅう)類など。猛禽類の多くが絶滅危惧(きぐ)種に挙げられるのは、豊かな生態系に支えられる存在だから。しかし、オオタカは各地で増加しているといわれている。
8年間、同じ森でオオタカの繁殖を見守ってきた日本野鳥の会会員によると、ほぼ毎年、1羽から3羽が巣立ちに成功している。しかし、強風で巣が落下したり、カラスにじゃまをされて巣を放棄してしまったこともあった。餌の多くはレースバト、時にはカラスを捕らえてひなに与えていたこともあったという。
人とのかかわりも深く
オオタカはその高いハンティング能力から、古くから「タカ狩り」のタカとして利用されてきた。現在、増加傾向にあるのはハトやカモなど手ごろな大きさの鳥が増えていることや、戦後、植林された木の樹齢が営巣に適するようになったことだといわれている。人とのかかわりが深いからこそ、彼らの未来はわれわれに託されているのかもしれない。
|
(写真と文・矢内靖史)
|
【 オオタカ 】
ワシタカ科。雄は全長50センチでカラス大。雌が60センチ。県のレッドデータブックでは絶滅危惧T類。
|
|
民友携帯サイト
右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。
|
|
|
|