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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 21 】 木工
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廃校アトリエに家具制作
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ギャラリーを訪れた来客に作品の説明をする若林さん(右)。当時の面影を残すかつての教室は、オリジナルの家具や小物が展示される=天栄村田良尾
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山懐に抱かれた小さな木造校舎。校庭の前には「めばえ工舎」と手書きの小さな看板が立っている。廃校になった旧天栄村立羽鳥小が木工作品のアトリエ兼ギャラリーに姿を変えたのは2004(平成16)年。「初めは、ほとんど知り合いの作品を展示していました」と苦笑いするのは木工職人の若林克友さん(30)だ。
かつての教室には木製のテーブルやいす、壁掛け、時計などの小物が並ぶ。どれも一切金物やビスは使わず、塗装はオイルのみ。木材は主に県産の落葉広葉樹で、樹木の性質によって使い分ける。「地元で伐採された木を好意で頂いたこともあります」。身近にある確かな素材を使うことがこだわりだ。
ここだからできるものを
若林さんは神奈川県出身。郡山市の日大工学部建築学科在学中、家具工場で機械の操作を学び、卒業後、すぐに独立の道を選んだ。大学の後輩だった妻の美緒さんとともに同村に移り住んで6年目、2人の子どもも授かった。「窓ガラスが割れる音がしたので行ってみると、キジが落ちていました」。校舎の裏庭にクマが出没したことも。
若林さんの目標は小物から建築まで、トータルでの物作り。「ここだからできるもの、作って楽しいもの」。心底、木の物作りが好きだという。仕事と日常に境がないと笑った。
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(写真と文・矢内靖史)
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【 めばえ工舎 】
家具は注文制作。小物はギャラリーやホームページから購入できる。
問い合わせは090・2255・0639
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民友携帯サイト
右のコードを読み取り、表示されたURLでアクセスできます。
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