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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 24 】 特殊伐採
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腰縄頼りに高所の作業
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墓地に立つ枯れた松の伐採作業をする大波さん。横枝は下から切り、幹は上から数度に分けて伐採される=伊達市保原町
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墓地に立つ一本の枯れた松。この木の伐採が今日の仕事だ。大盛木材代表の大波盛雄さん(67)=伊達市霊山町=は、寺社や屋敷の間の巨木など、重機の入らないような狭い敷地内にある木を切るのを専門にしている特殊伐採の職人。2005(平成17)年には、国土緑化機構が選定する「森の名手・名人100人」に選ばれた。
特殊伐採は通常5、6人で作業する。大波さんの役目は「登り子」。「空師」とも言われるこの仕事は、高木に登って枝や幹を切断する役だ。狭い敷地にある木のため、すべてロープやワイヤにつって、慎重に降ろされる。仲間たちがロープを引き、降ろされた木は手際よく切断される。
仕事に掛かる前には、必ず現場を清める。塩、煮干し、水、お神酒を供える。「大きなけがはこれまでありません」と大波さん。しかし、腰縄を頼りに巨木によじ登っての作業に危険はつきもの。弟子の朝倉美明さん(28)が志願した際、1年間も断り続けたという。「やっぱり危険な仕事だからね」
感謝の気持ちを持って
これまで登った中で、最も高い木は約50メートル。「高さは関係ない。落ちたら死ぬのは一緒だから」と笑う。仕事が完了した後も木にお礼をする。「大きく育った木をこちらの事情で切るわけですから、感謝の気持ちを持たないと」
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(写真と文・矢内靖史)
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【 大盛木材 】
屋敷林の巨木、ご神木の伐採。停電のための緊急伐採。杉沢の大杉など、緑の文化財の不要枝の除去などを手掛ける。
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