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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 37 】 ニホンリス
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冬毛まとう「木ネズミ」
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豊かな冬毛に覆われたニホンリスの雄=福島市荒井・水林自然林
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冬毛をまとったニホンリスがやって来た。木の枝を素早く渡りながら用心深く近づいてくる。福島市荒井の水林自然林は、リスに出合える機会が多い。「冬になると毎朝、近くを巡回しにくるんです」と管理事務所の高橋勝美さん(68)。数年前からペアのリスが現れるようになり、今では2匹の特徴も分かるようになったという。
雌は尾の毛の一部が切れていて茶色がかったグレー。雄はグレーで耳の毛が長い。気質も違う。雌は大胆なところがあり、雄は臆病(おくびょう)だと高橋さんが笑った。「夏毛のリスは見られたものじゃないね」。毛が短いとまるでネズミのようだという。林業関係者は、今でもリスを「木ネズミ」と呼ぶそうだ。
高橋さんは、2年前に子育ても確認した。「子どもは縄張りから追い出されたのでしょう。ここに来るのは、ずっと同じペアです」
広葉樹林減少で絶滅危惧
ニホンリスは里山に広く生息する身近な動物だ。一方で、中国地方や九州ではほぼ絶滅、西日本では絶滅が危惧(きぐ)されている。その理由は、連続した広葉樹林が失われたからだといわれる。
高橋さんは時々、リスのためにクルミを置いてあげる。「いいことだか分からないけど、冬の間だけでも栄養つけてもらいたいからね」
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(写真と文・矢内靖史)
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【 ニホンリス 】
ネズミ目リス科。頭胴長16〜22センチ。尾長14〜17センチ。昼行性で主に樹上で行動する。杉などの樹皮を使って巣を作る。
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