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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 41 】 ニホンザル
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探求続く“適切な関係”
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子ザルの毛繕いをする母ザル。子ザルは生後1年ほど、母ザルの周辺を離れない=福島市飯坂町茂庭
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日本人とニホンザルの関係は、時代によって大きく変化してきた。狩猟対象だった時代には、サルは人を恐れ、里で見ることはまれだった。しかし、社会構造の変化や動物愛護の浸透などで次第にサルは人を恐れなくなり、さまざまな問題を引き起こし始めた。人とサルの“適切な関係”を探る試みが続いている。
JA新ふくしまで有害鳥獣対策を担当する今野文治さん(41)は、福島市の茂庭地区の出身。同地区は、県内で初めてサルによる農作物被害が発生した場所だ。1993(平成5)年ごろからは被害が頻発するようになり、「山の中で果樹をやっていた農家はだいぶやめました」。
捕獲で恐怖心植え付ける
2007年に福島市は、県のニホンザル保護管理計画の承認を受け、捕獲に乗り出した。「先発の好奇心おう盛な個体を捕獲することで、恐怖心を植え付ける効果もあります」と今野さん。捕獲を実施するに当たっては、どの群れに問題があるかなど、詳細なデータが必要になる。
今野さんは「福島ニホンザルの会」でも毎年、群れの頭数、雌雄、何歳で構成されるかなどを調査してきた。地道な活動があるからこそ、保護もできるし管理もできるのだ。「サルと共存していこうという気がなければ、将来にわたって良い関係は築けません」
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(写真と文・矢内靖史)
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【 ニホンザル 】
サル目オナガザル科。昼行性で遊動生活を送る。昔は肉や毛皮を取ったり、婦人病の薬としても利用された。
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