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かつて、人々の生活と密着し暮らしを支えてきた県内里山。燃料や農業に必要なものを得るために手を入れてきた。変わりつつある現在の里山の風景、森づくり、行事など、人と森のかかわりとともに、そこに息づく生物を紹介する。
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【 44 】 冬の放牧
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健康な牛育てる秘けつ
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雪に覆われた牧場にゆったりと放牧される牛たち。冬の間も日中は元気に運動している=川俣町山木屋・みちのくグリーン牧場
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真っ白な雪に包まれた川俣町山木屋地区。氷点下10度以下になる山あいの牧場で、80頭の乳牛がゆったりと大きな体を横たえる。
阿武隈山系の標高約600メートルの斜面を切り開いた「みちのくグリーン牧場」。まだまだ雪の残る牧場では、牛たちが白い息を吐きながら寄り添い、静かに春の訪れを待つ。
牛は寒さに強く、牧場では冬も気温の下がる朝と夜以外は毎日、牛を放牧に出す。「牛たちは寒いかもしれませが牛舎にいればストレスがたまる。健康な牛を育てるには自然の中で育てるのが一番です」と、牧場の高橋健司代表は話す。
実は放牧に出すと、1頭から取れる牛乳の量は少なくなるという。牧場を歩き回る牛たちが、牛舎で飼うよりもカロリーを消費するからだ。しかし、十分に運動した健康な牛から搾った牛乳は格別だ。
搾った牛乳敷地内で加工
牧場では、搾った牛乳を敷地内で加工。搾りたての牛乳の味を殺さぬように、低温殺菌や品質を均一化させるために脂肪分を細分化させる「ホモジナイズド」という工程を省く。
瓶詰めされた牛乳は、静かに置いておくと生クリーム、高脂肪牛乳、低脂肪牛乳の3層に分かれる。自然の中でおだやかに暮らす牛たちの牛乳本来の味わいが、そのまま瓶に閉じこめられている。
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(写真と文・矢内靖史)
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【 みちのくグリーン牧場 】
牛乳のほか、チーズやアイスクリームなどの加工品も手掛ける。電話(024・563・2332)。
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