【 花春酒造 】 料理引き立たせる味<会津若松市>

 
瓶詰め工程などの製造ラインで厳しい品質管理を経て出荷される日本酒=会津若松市・花春酒造

 「会津のよさは酒の良さ」のキャッチフレーズが真っ先に思い浮かぶ人も多いだろう。花春酒造(会津若松市)は、会社名の「花春」が町名になっているほど抜群の知名度と存在感を誇る。

 「花春 純米大吟醸酒」は、昨年4月の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で最高金賞を受賞した。「ワイングラスで日本酒」の飲み方に「ちょっと待てよ」という愛好家もいるだろう。

 ならば、つまみは。社長の宮森泰介さん(58)=写真・下=に聞くと、「純米大吟醸をワイングラスに注いでチーズを召し上がると最高ですよ」と即答。10~15度で飲むのが、お薦めだという。

 「日本人ぐらい世界の食べ物、飲み物を味わっている国民はいない」。それぞれの料理に合う日本酒は、どんな味の酒か。試行錯誤を続けてきた。何より和食の魅力の認知度が世界で高まる中、和洋を問わず、料理を引き立たせる日本酒の魅力を世界に認められるように育てた。

 目指すのは、最初の「おいしい」の一杯ではない。宮森さんは「毎日飽きないで飲む酒。ずっと飲み続けてもらえる酒」と強調する。そして「機械でできることは機械で」の考えから、工場の機械化を進めてきた。酒造りは全てコンピューターで制御されている。「日本酒の完成度を高めたい」との思いは、誰にも負けない気概を感じさせる。

 宮森さんから酒と人生の話を聞きながら「花春のよさは人の良さ」の勝手なキャッチフレーズが浮かんだ。

花春酒造

 戊辰後漢詩ちなみ改名
 創業は1718(享保3)年。創業者宮森久右衛門は鶴ケ城外堀東門天寧寺口で屋号を「井筒屋」、酒銘を「天正宗」と称した。1868(慶応4)年に勃発した戊辰戦争の戦禍に会津が打ちひしがれる中、5代目井筒屋久右衛門は、いち早く蔵を再建して酒造業を再興した。漢詩「花開酒国春」にちなんで「人々の心に花のような明るさと春のような和やかさを取り戻そう」と「花春」に改名した。花春酒造(電話)0242・22・0022

花春酒造