【 渡辺酒造本店 】 芳醇辛口の道を追究<郡山市>

 
「北国の美酒を全国へ」を胸に仕込み作業に取り組む従業員=郡山市・渡辺酒造本店

 「張り子の里」で知られる高柴デコ屋敷がある郡山市西田町に酒蔵を構える渡辺酒造本店。代表銘柄「雪小町」は、北国の「雪」と美人の代名詞「小町」を組み合わせ、北国の美酒にふさわしい酒にしたいとの願いが込められている。北国の美酒を全国へ―を目標に掲げ、酒造りに情熱を注ぐ。

 杜氏(とうじ)の社長渡辺康広さん(51)=写真・下=は東日本大震災、原発事故発生時、県酒造組合の酒米対策委員長を務め、県産酒の風評被害対策を先導した。新潟大農学部で土壌学を専攻し、また放射線化学を学んだ経験を生かし、米粒から酒を造り上げるまで、その知識を駆使。風評被害に苦しむ県産酒の安全・安心を全国に発信した。「厳しい自主規制を定め、安全管理を徹底してきた」と振り返る。

 「雪小町純米大吟醸美山錦」は、個性あふれる芳醇(ほうじゅん)辛口で、爽やかな香りとともに切れのあるすっきりした味わい。「15~20度の冷やから常温で、刺し身と合わせると一層引き立つよ」と、お薦めの味わい方を教えてくれた。「雪小町純米酒淡麗美味」は、冷やから熱かんまで幅広く楽しめるという。「水炊きの鍋料理など、これからの季節にぴったり」と太鼓判を押す。

 酒造りは、きめ細やかさとなめらかさが出る低温発酵にこだわる。「日本酒は祝い事などで味わう特別な酒だが、普段酒としてそばに置いてもらえるよう、芳醇辛口のスタイルを追究していきたい」。県産酒を全国に広める飽くなき挑戦が続く。













渡辺酒造本店

 お神酒酒屋として創業
 地元向けのお神酒酒屋として1871(明治4)年に創業した。緑豊かな風土の中で、酒造好適米の生産に力を注ぎ、地元産の酒米を自社田と契約農家で栽培。2010年から純米酒から取り出した純米焼酎を生産している。新しいタイプの純米焼酎の先駆者でありたいとの思いから、初代創業者の名を取り銘柄を「類蔵(るいぞう)」とした。全国新酒鑑評会で金賞受賞7回、入賞3回などの実績を持つ。渡辺酒造本店(電話)024・972・2401

渡辺酒造本店