AI導くいわき発おいしい味...「日本酒」「ぐい飲み」「料理」

 
参加店舗で提供される「磐城寿」とぐい飲み。後ろは料理を手にする佐川さん

 人工知能(AI)が導き出した数値を基に、相性の良い日本酒とぐい飲み、料理を提供する一風変わったイベントが18日、いわき市の飲食店で始まる。原発事故に伴って移転した大堀相馬焼の窯元と酒造店などが協力。復興とともに"いわき発"の新しい食の楽しみ方として発信する。

 同市平地区を中心にした飲食店など有志による実行委員会が2月20日まで繰り広げる。企画に携わった東京都の商品企画会社「ガッチ」社長の松永武士さん(30)=浪江町出身=は「AIを活用した世界で初めての切り口となるイベント」と成功へ意欲を示す。

 イベント名は「ファンクラベ」で、居酒屋やフランス料理店、すし店など19店舗が参加する。東京都の会社「AISSY(アイシー)」が開発し、甘味やうま味、苦味など、人が感じる味覚を数値化できるAIセンサー「レオ」が導き出した情報を基に、適した組み合わせを客に提案する試みだ。

 日本酒は、浪江町から山形県長井市に移った鈴木酒造店が醸造した3種類の「磐城寿」。ぐい飲みは浪江町から西郷村に移転した大堀相馬焼の「松永窯」の新商品で、底が二重構造となっている陶器の「イッコンダブルウォールサケカップ」。

 松永さんによると、ぐい飲みの形状によって人が感じる味の数値に変化が出るといい、内側の形が違った3種類のぐい飲みを用意。客は、日本酒とぐい飲みの組み合わせを選び、店側がその組み合わせに合った料理を薦める。日本酒とぐい飲み、料理のコースを提供したり、日本酒の飲み比べを楽しむ店もある。

 松永窯の松永和夫代表(69)は「伝統を踏襲しつつ、これまでにないぐい飲みを作った」と強調。「イベントを通して、大堀相馬焼が元気でやっていることも伝われば」と期待を寄せる。

 イベントに参加する「だいこん家」店主の佐川達也さん(51)はブリのかま焼きや豚の角煮、高野豆腐の肉詰めなどの提供を予定しているといい、「家庭料理とぐい飲み、お酒のペアリングを楽しんでほしい」と来店を呼び掛けた。