会津の酒造...水田や精米工場被災 台風19号影響で仕込み見送り
台風19号で原料米の生産地や精米工場が被災し、会津地方の日本酒の蔵元で商品の一部が生産中止に追い込まれていることが30日、各蔵元への取材で分かった。各蔵元は「代えがきかない酒米」としており、影響を危惧する声が上がっている。
末廣酒造は、会津美里町の同社博士蔵で醸造していた山廃純米酒「与次右衛門」の今年の仕込みを見送った。契約農家が栽培した会津産酒米「五百万石」を原料にしていたが、精米を委託していた郡山市の精米工場が浸水。今年収穫された約2.3トンが全量被害を受けた。酒米は江戸時代の農業書「会津農書」に基づき、有機自然農法で育てているため、ほかの酒米では代用できないという。同社は当面、在庫で対応する方針。
会津若松市の会州一酒造山口合名会社では、宮城県丸森町の観光物産振興公社から受託した日本酒の仕込みの見通しが立たない。
丸森町内で栽培したコシヒカリを使用して特別純米酒を醸造、「賜候(たまわりそうろう)」「もりもり」という二つのブランド名で引き渡していた。
だが、今年は台風19号で状況が一変。原料米についての情報は同社にまだ寄せられていない。顧客からの依頼を受けて製造する「プライベートボトル」やコメにこだわり、付加価値を付けた酒造りが増えており、原料米が被害を受けると影響は大きいという。
山口佳男社長(62)は「他産地からコメを持ってくるわけにいかない」と不安を募らせている。
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