酒蔵再建、一部を交流スペースに 本宮・大天狗酒造が改装計画

 
「にぎわいを創出し、未来につながる酒蔵にしたい」と協力を呼び掛ける小針さん(右)と伊藤社長

 台風19号で被災した本宮市唯一の蔵元「大天狗酒造」が、地域のにぎわい創出に向けて、酒蔵の一部を試飲会や地域住民の交流スペースとして利用できるように改装する計画をスタートさせた。「駅前の立地を生かし、『本宮の玄関口』として地域内外の人が訪れる交流の場をつくって、本宮を盛り上げたい」。杜氏(とうじ)の小針沙織さん(32)は酒蔵の再建とともに、復興への願いを込める。

 1872(明治5)年創業の大天狗酒造は台風の影響で酒蔵1階が約60センチ浸水、ボイラーや瓶詰め機が壊れ、存続の危機に直面した。

 だが、小針さんは一度も蔵を閉めようとは思わなかった。「助けてくれた人がたくさんいたから」。交流のある酒蔵や取引先、常連客ら多くの人たちが連日、支援に入ったほか、会員制交流サイト(SNS)で「飲んで応援しよう」という呼び掛けが広がり、11月には製造を再開することができた。

 災害を通して多くの人に支えられていることに改めて気付かされたという小針さん。「酒蔵の再建に合わせて、この支援を地域に還元できないか」。以前から酒蔵での試飲会や撮影会開催などの要望が多かったことから、「仲間と楽しく酌み交わせる日本酒のいいところを生かしたい」と、酒蔵が窓越しに見える交流スペースをつくろうと思い立った。

 交流スペースは、職人の休憩場所として使われていた空きスペースを改装する。地域のイベントや講習会などでの利用も考えているという。

 伊藤滋敏社長(65)も「一般人は入れないイメージが強い酒蔵を生かした新たな試み」と期待を寄せる。「災害から生まれ変わるなら、未来につながる酒蔵にしたい。交流スペースを通して、観光客の増加につながるいい循環を生み出したい」と小針さん。被災をバネに、老舗酒蔵の"進化"が始まる。

 ◆ネットで小口資金募る

 大天狗酒造は10日、インターネットで小口資金を募るクラウドファンディングサービス「レディーフォー」を通じて、酒蔵の復旧費や交流スペースの改装費に充てる支援金の募集を始めた。締め切りは2月28日午後11時。目標額は300万円。支援は3千円~10万円で、金額に応じて限定酒や本宮市の特産品などを返礼する。

 同インターネットサイトには、初日から支援の輪が寄せられている。西郷村でイベント企画などを行っている菊池奈穂さんらが協力。10日午後5時現在で支援額は50万円を超えるなど、注目を集めている。