「ふくしまの酒まつり」福島県初開催 定着期待!58蔵飲み比べ

 
約8000人が県産日本酒を楽しんだ「ふくしまの酒まつり」=1日午後、郡山市・ビッグパレットふくしま

 県は1日、県産日本酒の最大のPRイベント「ふくしまの酒まつり」を郡山市で県内初開催した。焼酎1蔵元を含む県内全58蔵が157銘柄を提供し、来場者8000人(県発表)が思い思いに飲み比べを堪能。全国新酒鑑評会の金賞銘柄数で7年連続日本一に輝き、国内最高の品質評価を確立した県産酒の魅力を確かめた。

 「ご心配いただいた分、日本酒で恩を返したい」。大天狗酒造(本宮市)の杜氏(とうじ)小針沙織さん(32)は、台風19号を乗り越えての出展に声を弾ませた。同酒造は台風で酒蔵が浸水、取引先や常連客から支援を受けた。同日も多くの来場者に励まされ「何よりもうれしい」と小針さん。「福島の人が福島の酒を知るきっかけになってほしい」と、イベントの定着に期待を寄せた。

 日本酒ファンにとっても、酒まつりは特別なイベントとなった。郡山市の会社員男性(56)は「普段から福島の酒を飲んでいる。今後も応援するし、来年も参加したい」と笑顔。県主催の酒蔵めぐりツアーで来場した東京都の女性(36)は「全蔵元の酒が一堂に集まる。こんな機会はない」と興奮気味に杯を傾けた。

 県はこれまで、原発事故の風評払拭(ふっしょく)に向けて首都圏を中心にPRイベントを展開してきた。一方、県産酒の出荷量は国内市場の縮小傾向も響いて減少が続き、消費拡大には県内需要の掘り起こしも必要と判断。新年度以降も県内で開催し、将来的には国内最大級のイベントに成長させていく考えだ。

 県県産品振興戦略課は、「大きなトラブルもなくイベントを成功できた。次回以降の開催につなげ、県産日本酒の一層の消費につなげたい」と総括した。酒まつりは当初、昨年10月に開催予定だったが、台風19号で延期された。

 味噌や醤油も発信

 会場では酒まつりに合わせ、本県の醸造文化を発信する「味噌醤油(みそしょうゆ)まつり」が同時開催された。全体のオープニングセレモニーでは内堀雅雄知事、品川萬里郡山市長、有賀義裕県酒造組合会長、満田盛護県味噌醤油工業協同組合理事長が鏡開きを行った。