「全国新酒鑑評会」中止決定 金賞酒決めず、入賞酒のみ公表へ

 

 酒類総合研究所(広島県)は7日、2019酒造年度(19年7月~20年6月)の日本酒の出来を競う全国新酒鑑評会について、12、13の両日に予定していた決審を中止すると発表した。今回は金賞酒を決めず、すでに行っている予審の結果を踏まえ、入賞酒のみをホームページで公表する。本県は、都道府県別の金賞受賞銘柄数が全国最多の7年連続日本一となっており、記録更新がかかっていた。

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が延長されたことを受けた措置。開催地となる広島県が県をまたいだ移動の自粛を要請しており、研究所の職員のほかに審査委員を務める蔵元関係者や国税庁職員、酒造技術指導者らが全国から集まれなくなった。

 今回は全国から850点の出品があった。予審は4月に行われ、決審では予審を通過した入賞酒の中から特に優秀な金賞酒が決まる予定だった。研究所は「中止決定は苦渋の判断であり、感染拡大防止に向けた政府の方針に沿うものだ」としている。

 福島県酒造組合会長「出来が良く残念」

 今年は本県の新たなオリジナル酒造好適米「福乃香」で仕込んだ日本酒の販売が本格的に始まり、県産酒のブランド力向上も期待されていた。県酒造組合の有賀義裕会長(66)は「今年は新酒の出来が非常に良かったので残念だが、この状況で中止は致し方ない。来年も記録が途絶えないよう、8連覇を目指したい」と話した。

 県は「東日本台風(台風19号)の被害があった中、今年も日本一を確信できる出来に仕上がったと聞いていただけに残念。新型コロナウイルスを乗り越え、来年に期待したい」(県産品振興戦略課)としている。