福島県産日本酒「33点」入賞! 全国新酒鑑評会、震災以降最多

 

 酒類総合研究所(広島県東広島市)は22日、2019酒造年度(19年7月~20年6月)に製造された日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会の審査結果を発表した。本県は東日本大震災以降最多となる33点が入賞し、都道府県別では新潟県の39点に次ぎ、長野県と並んで2番目に多かった。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で最終審査の決審が中止となり、金賞は選定されなかった。本県は金賞に選ばれた数で7年連続(12~18酒造年度)の日本一に輝いている。記録更新は次回に持ち越しとなったものの、醸造技術の高さを改めて示した。

 全国から850点の出品があり、入賞は433点。4番目に入賞酒が多かったのが兵庫県の24点で、秋田県が21点で続いた。

 日本酒の品質を左右する原料米の特徴や温度管理などはその年によって異なるが、県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの指導を受け、各蔵元が臨機応変に対応できる技術力や判断力を身に付けている。

 昨年10月の東日本台風(台風19号)では、県内の一部蔵元や酒米を精米している郡山市の工場が浸水被害を受けた。さらに新型コロナの影響で歓送迎会などの中止が相次ぎ、日本酒の出荷量が激減している。本県の蔵元は苦境に立たされる中、全国新酒鑑評会で県民に希望をもたらした。

 研究所は4月の予審で審査委員を職員に限定し入賞を選定。本来は決審で予審を通過した入賞の中から特に優れた金賞を選ぶ予定だった。しかし、緊急事態宣言を踏まえ、開催地の広島県が県外からの移動自粛を要請していることから、審査委員の招集が困難となり、決審を中止した。

 研究所によると、鑑評会は日本酒の品質や製造技術の向上を目的に1911(明治44)年に始まった。終戦時の45年と阪神大震災があった95年は中止となった。決審だけが行われないのは今回が初めて。