塙のコメ...東京・葛飾の酒に! ラベルに『福』コロナ収束願う

 
販売されている日本酒「葛飾の花」の新ラベル

 東京都葛飾区で塙町のコメを使った日本酒が販売されている。商品名は「葛飾の花」。ラベルには花文字で大きく福の文字が記されている。葛飾区と塙町の防災協定をきっかけに塙町のコメ農家などでつくる「那倉米の会」と矢祭町の矢沢酒造店が協力して醸造した。

 葛飾区はかつて都内有数の酒どころとして知られていたが、現在は酒蔵が消えその歴史は途絶えた。塙町のコメを使った酒造りは1998(平成10)年の葛飾区と塙町が防災協定締結を結んだ縁から、2007年に葛飾区の歴史や文化を残そうと取り組む市民サークル「葛飾酒作り本舗」の依頼で始まった。

 日本酒造りに欠かせないコメは、塙町那倉地区で栽培された「美山錦」を使用する。例年は同サークル関係者が日本酒造りの現場見学のために塙、矢祭の2町を訪れているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大によりそれもできなかった。しかし、感染収束を願って日本酒の新しいラベルを製作。ラベルには感染症の収束を願う「福」の文字がデザインされた。

 「葛飾の花」は、葛飾区内のスーパーで販売されているほか、同区のふるさと納税の返礼品にも選ばれている。同サークルの曽根誠志会長(68)は「『禍(わざわい)転じて福となす』という言葉があるように、コロナ禍が早く収束して、日本酒造りを通じて県民との交流を再開したい」と話している。