「酒蔵バー」21年2月オープン!ホップ使用で『新しい日本酒』

 
民家を解体する佐藤さん(左)と立川さん

 南相馬市小高区で酒造りに挑む市起業型地域おこし協力隊の佐藤太亮(たいすけ)さん(28)は5日、バーを併設した酒蔵の建設工事を始めた。来年2月のオープン予定で、ホップなどさまざまな副原料を使った"新しい日本酒"を醸造する。

 佐藤さんは「(原発事故の影響で)人口が一度ゼロになった小高区で自由な醸造スタイルを追求しながら、人と人の新しいつながりをも醸せるような場所をつくりたい」と笑顔を見せる。

 埼玉県出身の佐藤さんは東京都内のIT関連企業を退職後、昨年4月に南相馬に移住して事業に着手。新潟県の酒蔵で1年間酒造りを学び、南相馬に戻ってきた。株式会社「haccoba」(ハッコウバ)を設立、妻みずきさん(44)=いわき市出身、8月に協力隊に着任した立川哲之さん(26)=東京都出身=と共に酒造りに取り組む。

 資金調達のため9月に400万円を目標額としたクラウドファンディングを始め、5日間で達成したという。東北地方で伝統的に行われていた「花(はなもと)」と呼ばれるホップを使った製法をメインに酒を醸す。米と米こうじを原料にこした酒税法上の清酒と少し異なる「クラフト酒」を造る。

 酒蔵とバーは、空き家となっていた小高区にある築40年超の民家を改装して建てる。佐藤さんやボランティアが作業に取り掛かった。佐藤さんは「やっとの思いでここまで来た。造り手と飲み手の距離がない空間をつくり、南相馬の日常に彩りをもたらす場にしたい」と話した。