「酒造り」20年ぶり復活へ!45歳孫継承 会津美里・男山酒造店

150年の歴史を誇る会津美里町の蔵元「男山酒造店」が、この冬から約20年ぶりに酒造りを復活させる。6代目の死去で途絶えていたが、孫で千葉県出身の小林靖さん(45)が蔵の伝統を引き継ぐ覚悟を固めた。仕込みを目前に控え、小林さんは「たくさんの人に支えられてきた。みんなが味わって和やかな気持ちになれる酒を目指したい」と意欲を燃やす。
男山酒造店は1865(慶応元)年創業。「會津男山」を代表銘柄に、最盛期の昭和40年代には年間約36万リットル(一升瓶約20万本分)を生産していた。しかし、日本酒の需要の落ち込みなどを受け、出荷量が減少。1998年、6代目の千葉義徳さんが亡くなったのを機に、生産を休止した。
使われなくなった蔵は、叔父の千葉不二彦さん(73)が7代目として引き継ぎ管理していたが、小林さんはずっと気に掛けていた。母の実家であり、幼いころは夏休みに必ずと言っていいほど訪れた。広い蔵に入って駆け回ったり、祖父らと夕暮れの縁側で涼んだりした思い出が、どうしても頭から離れなかった。
4年ほど前「廃業して、建物を壊すかもしれない」といとこから聞いた時、「あの場所がなくなるのは受け入れられない。自分が何とかしたい」という思いが湧き上がってきた。
気持ちは日々膨らみ、約20年勤務した東京都の会社を、周囲の反対を押し切って退職。2018年から会津若松市の蔵元で本格的に酒造りを学びながら、県清酒アカデミーに通って技術を習得した。酒造りの複雑な工程を理解するのは、想像以上の苦労だった。どんな細かなことでもノートに書き記し、酒造関係の書籍も集めて読み込んだ。
昨春に妻真由子さん(44)と長男の春親君(7)を呼び寄せ、今年7月に男山酒造店の8代目を継いだ。
仕込みを前に、蔵では機械の調整などが続き、慌ただしい日々が続く。経験豊かな蔵人を迎えて臨むが、小林さんの緊張は高まる。「あっ、あの作業を忘れていた」と夜中に目が覚めることもあるという。
地元のコメにこだわり、原料として県オリジナル酒造好適米「夢の香」「福乃香」などを使う。12月下旬には、醸造工程の最終段階「搾り」に入る。「再開に向けて携わってくれた人たちに味わってほしい。会津男山を好きになってくれる人とつながり、新しい酒の可能性を広げていきたい」。8代目として、新たな蔵の歴史を刻むつもりだ。
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