猪苗代産米の日本酒、コロナ禍輸出できず...支援へJAが寄付金募る

 
ブランド米で仕込んだ日本酒を手に、寄付を呼び掛ける新城社長(右)と五十嵐課長

 新型コロナウイルスの影響で、猪苗代町産のブランド米「いなわしろ天のつぶ」で仕込んだ日本酒の輸出が止まったことを受け、JA会津よつばは29日まで寄付金を募っている。この日本酒は生産量のほとんどが海外向け。720ミリリットル約1200本が在庫となり、大きな打撃を受けているコメ農家、酒造会社の双方を支援しようと企画した。

 JA会津よつばが8日、発表した。いなわしろ天のつぶはJGAP(ギャップ、農業生産工程管理)の認証を受けた同JA猪苗代稲作部会のブランド米。同JAの委託を受け、会津若松市の辰泉酒造が大吟醸と純米吟醸を造っている。

 輸出先は中東のドバイ、アゼルバイジャン、香港など。コメの甘みと柔らかい口当たりが好評で、2018(平成30)年の輸出開始以降、徐々に受注が増えていたという。しかし、新型コロナによる渡航制限のために現地での商談ができなくなり、昨年2月を最後に輸出が止まっている。

 寄付は、食と農専門のクラウドファンディングサイト「AGRISSIVE!(アグリッシブ)」で受け付けている。目標は100万円。日本酒を楽しんでもらうことも目的の一つで、支援者には返礼品として、日本酒や原料のコメを贈る。

 辰泉酒造の新城壮一社長は「せっかく造った酒が誰にも飲んでもらえず、悔しい。会津のコメ農家と酒蔵が一丸となって造った酒を味わってほしい」と話す。同JAふるさと直販課の五十嵐健一課長は「生産者と支援者をつなげる取り組みにしたい」と意気込む。

 問い合わせはふるさと直販課(電話0242・83・2447)へ。