人気酒造 7基目の木桶導入で全量醸造へ、ホーローから切り替え

 
新たな木桶での良酒の醸出を願って行われた祈とう

 人気酒造(二本松市)は、日本酒の仕込みに使う新たな木桶(おけ)を導入した。7基目の木桶で、同社の日本酒全てを木桶で醸造できる体制が整った。

 高級酒やスパークリング日本酒の需要が高まっていて、これらの生産に対応するために導入した。新しい木桶は高さ1・65メートル、最大直径1・6メートルの台形で、容量が2300リットル。樹齢100年以上の吉野杉を使って作られた。大型木製タンクなどを製造するウッドワーク(堺市)の職人上芝雄史さんが手掛けた。

 人気酒造は日本の文化と伝統を守りたいと、ホーロー製タンクなどから木桶への切り替えを進めてきた。これまで6500リットルの大型木桶5基と、小ぶりの2300リットル1基を導入した。木桶は搾りたての鮮度が良い酒を1年中、消費者に届けるために取り組む通年醸造との親和性も高いという。

 木桶の納入を受け、年末年始の人気銘柄「人気一御祈酒」のおはらいと併せて10月20日、同社で祈とうが行われた。桶の底に参列者が名前を書き込んだ後、神事が行われ、遊佐勇人社長らが祈願した。遊佐社長は「木桶での全量醸造をやっていける。良い酒を送り出せることを期待している」と述べた。